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コラム羅針盤

2013.12

新たな商機の創造

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 今の世の中において確実なことはそうそうありませんが、私たちが年々歳を重ねるという事実は100%確かなことです。年齢毎に人口を重ねたグラフを人口ピラミッドと呼びますが、今の日本のその姿は、ピラミッドという形からはかけ離れた姿になっているのは周知の通りです。
 改めてこのようなことを考えたのは、所用があってある県のとある地方へ出かけたことがきっかけでした。バスを乗り継ぎ、ようやく終点に辿り着くことができる山間部のその地区は、数年前の市町村統廃合によって地名が変わっていました。
 駅前の商店街からバスに乗りましたが、休日にもかかわらず乗車する方は少なくほぼ貸切り状態でした。乗客は高齢のご夫婦一組、やはり高齢の男性の方お二人、そして私たち夫婦の計六人。どの方もスーパーなどの買い物袋を二つ三つ抱え、透けて見えたのが牛乳パックなどの日常品でした。終点に近づくにつれ、重い買い物袋をぶら下げながらそれぞれゆっくりと下車されていきました。路線は三年前に変わり、バスの乗り継ぎが増え到着時間も長くなっていました。

 
 
統廃合後の現実
 
  帰宅後、市町村統廃合のことをもっと知りたくなり、市のホームページを覗いてみました。統合で人口は数%増、世帯数は大幅増、面積はさらに数倍増というデータが掲載されています。統合された旧町村は大きな面積にもかかわらず、一人暮らしの方が多かったようです。総務省から平成の市町村合併の総括が出ていますが、それには全国規模で市町村の数は半分となった反面、対象の市の平均面積は逆に約二倍になったとありました。また、地方の行財政基盤が強化された反面、住民アンケートでは各種の日常サービスが低下したという声が多かった事実も正直に報告されています。
『貸切り状態の路線バス』
『少子化と高齢化』
『袋から透けて見えた日常品』
 バスに乗って以来、あの日見た光景と日常的に起きている事件やニュースが重なることが多くなりました。
 
 
新たなアイデア
 
● 路線バスは人と空気を運ぶ以外に、新たな付加価値を生むサービスはないのか?
● 郵便物は戸口まで届けてもらえるけれど、そこにもう一手の追加的なサービスの余地は?
● 電気、水道、テレビなど、戸口での料金の徴収時に何か新たな付加サービスは?

 勝手なアイデアが頭に浮かびますが、そこには超えるべき数多くの規制があるのでしょう。
 ある国では郵便受けに羽根が付いていて、近所のポストまで行けない場合はその羽根を上げ、発送したい郵送物を中に入れておくそうです。そうすれば、配達に来たポストマンが中の郵便物を持って帰ってくれるとのこと。また別の国では、高齢者や障害者を郵便配送車に乗せ、郵便の集配と住人の輸送の二つを行うポスト・バスというサービスがあるそうです。このようなサービスは日本では無理なのでしょうか。

 ところが、調べてみますと日本にも既存の壁を破りアイデアや工夫で勝負している会社が沢山あることを発見しました。

 まずはその名もデマンド・バス。バスとタクシーの長所をもったサービスを提供している会社で、バス停の数をこれまでの数倍に設置し、自宅から歩いて行ける範囲に必ずバス停があるように配置したそうです。その運行ルートは利用者の連絡によって決まり、最も効率の良いルートを本社のコンピューターがその都度瞬時に弾き出してバスを走らせています。複雑なシステムが必要になってきますが、それは大学が開発したそうです。まさに産学共同の賜物です。
 
 ある移動販売型のスーパーは、販売車に豊富な商品を用意するだけでなく、日常雑貨などの買い物代行も行うことで地域住民に総合的なサービスを提供しています。更にいつも来ていた高齢の方の姿が見えない場合、地区の民生委員に連絡をするサービスもしているとのこと。
 またある新聞販売店は、新聞受けに新聞が溜まっていることで異常を察知するサービスを行っています。このサービスを希望する家庭に対しては、新聞が溜まっていれば本人に電話をかけ、もしも応答がない場合は事前に記入してもらった登録カードの緊急連絡先や民生委員への連絡を取るというものです。
 
 
新しい商機への脱皮
 
 こういったサービスは企業や商店だけでは採算的に厳しい面があり、自治体などからの支援も不可欠な場合も少なくありません。しかし、既存の壁を破って新たなサービスを生み出す企業や商店の力強さに熱いものを感じます。アイデアと工夫で自ら商機を作り、消費者は新たなサービスを享受すると同時に地方自治体も民間の活力で支出を抑えつつ行政サービスが保たれていくことになります。
 モノ作りが得意な日本は、そこから派生する様々なビジネスの需要の掘り起こしに十分な知恵をまわしてきませんでした。その理由はいろいろあるでしょうが、良いモノを作り、顧客に売ってお仕舞いというモデルだけでは通用しない世の中になりつつあります。これは製造業に限らずサービス業も同様です。 商売の規模の大小に関係なく、より質の高いサービスを消費者に提供し、ひいてはその地域の暮らしの向上にどう貢献できるかという発想がこれからの重要な鍵だと考えます。
 図書館、病院、スーパーや路線バスなどの運営も従来通りで良い筈はありません。もちろん図書の貸し出し、患者の診察、安全輸送などの本来の役目は変わるものではありません。しかし、交通手段や体力がないなどの理由で需要者がそれらを利用できなくなり、施設や会社、さらには地方の自治体の運営も難しくなるという大きな変化の波が押し寄せています。
 少子化と高齢化によって、人口がピラミッド型の時代に出来上がった社会環境の枠組みからの多様化がいま、強く求められています。その要求の中に、ハード主体でなくアイデアで地方も都市も暮らしやすくなる新たなビジネスの発展の余地がまだまだある筈です。
 既存の枠組みをブレークスルー(打破)し、想像もしなかった新しいサービスの提供で次の時代の商機を創造する企業を今後も丁寧に調べ上げていきたいと、気持ちを新たにしています。
 
 
【アナリスト 一井 玉治】




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