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コラム羅針盤

2016.01

長期目線で行う企業分析

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 私たち運用調査部が日々行っている調査業務のひとつに、企業が発表する決算内容を分析する業務があります。分析業務は企業が公開する有価証券報告書や決算説明会資料、企業への取材を基に行っています。今期中間決算では、北米での販売好調やインバウンド(訪日外国人)消費などで外需、内需ともに伸長し、為替の円安も追い風となって全般的に好調な内容でした。日本の全上場企業の連結純利益で見ると前年同期と比較して15%の増益という結果です。概ね好調だったと言える日本企業の中間決算ですが、全ての企業の業績が良かったわけではなく、現在の外部環境についても、良いのか悪いのかは企業によって大きく異なっている様です。

 
 
外部環境の変化への対応

 投資させていただいている企業の中でも、今期中間決算において業績が非常に良く過去最高益を更新するような企業と、昨年と比べて業績が大きく落ち込んでしまった企業とがあります。減益の要因は様々ですが、その多くは原油や鉄鉱石といった資源価格の大幅な下落や円安による調達コストの増大、中国経済の減速といった外部環境の悪化に起因するものでした。そして、株式市場では、業績の落ち込んでしまった企業の価値は低く評価され、たちまち株価が下落していく局面がありました。
 株価の下落は致し方ない面もありますが、そもそも外部環境は良い時もあれば、悪い時もあるもので、将来を正確に予測することは難しいものです。2014年に100ドル以上の値を付けた原油価格が、わずか2年も経たないうちに40ドル以下まで下落することを予測できた人はいなかったはずです。これらを踏まえて考えてみると、投資家として企業を取り巻く外部環境を想定することは重要ですが、それよりも大切な事は外部環境の変化に企業がどの様に対応していこうとしているかをしっかりと調査することだと思います。
 
 
決算を通じて見えてくるもの
 
 企業が発表する決算や取材を通じて得られる情報は、将来に向けた設備投資や研究開発の状況、業務改革への取り組みや運転資金を圧縮するための施策など様々です。そのため、今期の業績が減収減益となりそうだからと言って、その理由だけで企業を評価することはできません。業績が落ち込んでしまった企業でも、外部環境が悪化したからこそ提供できる新サービスの発掘や、生産性改善による固定費の削減、新たな付加価値を生み出す研究開発で将来への布石を打っている企業は確かに存在するのです。
 例えば建設機械大手のコマツは、中国での建設需要の落ち込みや、資源価格の低迷により抑制された鉱山開発の影響を受けて、中間決算の内容としては減収減益という結果となりました。特に注目されていた中国市場での販売額は対前年比で44%と大きく減少しました。しかし、サービス・部品事業の収益拡大に加えて、徹底的な固定費削減策が寄与して、営業利益率は製造業の中でも高い11%という結果を残しています。
 このように、外部環境が想定以上に悪化したとしても収益を上げられるような企業体質を作り上げ、市況が好転した時に高い収益をあげられる準備をしっかりと整えている企業は、例え短期的に業績が下ぶれしたとしても、長期的に見れば安心感を与えてくれます。そのため、さわかみファンドでは、「純利益が前年同期で○○%減」といった新聞報道があったとしても、長期的な視点で分析をした結果、逆に企業価値が高まったと判断する場合もあるのです。
 
 
満を持して機を待つ
 
  長期投資のすばらしい利点は、買う・売る・待つという投資判断において、最後の”待つ”という判断を効果的に活用できるところにあります。つまり、直近の業績は落ち込んでいるかもしれないが、将来に向けて(外部環境が良くなったときに向けて)着実に準備を整えている企業に投資ができることを意味しています。「しばらくは需要の高まりが期待できないが、企業体質が着実に強化されている」といった企業に投資ができるのです。さらに、金融ショックが引き起こると、株価と企業価値がより大きく乖離することから、株価暴落時には「企業を支える気概」をもってより積極的に買いにいきます。これが長期投資を掲げるさわかみファンドの基本的な投資スタンスとなります。
 長期投資を前提に考えると投資家が期待する企業経営は、目先の利益を追求するための経営ではなく、外部環境が大きく変化する中で、長期的かつ持続的に成長していくための経営となります。そして、同じ時間軸で将来を考える長期投資家だからこそ、企業と同じ視点で対話ができるのだと考えています。こうした対話を大切にしながら、株価変動のみならず、企業の持続的な成長についても、長期的な視点をもって調査をしていくことが、企業分析のあるべき姿なのです。
 
 
運用調査部長 岡田 知之




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