“会長書きおろし”20年間の年次レポート

2014.08.26~2015.08.24
さわかみファンド、こんなこともあったね(第16期)

この期も、Webシステムからの解約売りは止まらない。

2年前に就任した新社長が、新聞取材に「税制の変更で投資を引き上げるのはもったいない」と言いつつも、月次レポートでは「素敵なことにお金を使っていただけるのは運用会社としての誉れ。さわかみファンドのご解約は躊躇しないで」と、一見、矛盾するようなコメントを発したのだ。

大切なのは、カッコよくお金を使って経済をよい方向にもっていくこと。長年、さわかみファンドで運用した顧客は、資産形成に自信をもっている。そういった方々からどんどんお金を使ってもらえると、それが民間版の景気対策になってしまう。単なる税制で投資運用を止めてしまうのはもったいない。そうであれば、長期視野で解約のブレーキをかけてあげるものさわかみ投信の仕事だ。大切なのは、お金を生かすことである。

この期は、新たな試みとして全社員勉強会というものを始めた。さわかみ投信に在籍するすべての社員は、少なくとも一度は勉強会の講師となり、ファンド仲間の前に立つ。システム開発の人間も、経理を専門とする社員も、誰のお金をどのような想いで預かり増やすのかを知るべきだ。

普段、人前で話すことに慣れない社員も勉強会に出席させるため、参加者から「よく分からない」「運用の話ができる社員に来てほしい」とお叱りを受けた。Webでの解約が続く中、不慣れな社員を表に出しつづけていた結果、「最近、さわかみファンドは元気ないね」といった声を折にふれて耳にするようになった。

違う、オレ達は元気一杯だよ、長期投資の真価はこれからますます発揮してやると社内は意気軒高なのだが、それがなかなか伝わらないもどかしさがある。