“会長書きおろし”20年間の年次レポート

2007.08.24~2008.08.25
さわかみファンド、こんなこともあったね(第9期)

2007年8月に突如、米国でサブプライム・ローン問題が浮上した。そのすこし前には、フランスの大手商業銀行パリバが証券化商品の解約を凍結した。このふたつが、世界的な金融バブル崩壊の口火となるとは誰も想像できなかった。

それはともかく、さわかみファンドは絶好調で、ファンド仲間の皆様と一緒にひたすら我が道を行くだった。なにしろ、こちらは勢いに乗っている。新規の顧客口座はどんどん増えていっているし、ファンド仲間からの軍資金も続々と来着する。

ありがたいことに、株価全般は大きく下がっている。ここは、長期投資家にとって絶好のバーゲンハンティング機会だ。ひるむことなく買ってやるぞ。そのように、月中・月次報告書で書きまくった。相場を悲観的にみていた運用チームさえも、ファンド仲間の勢いに応えるため、共に立ち向かうことを決めた。

さわかみファンドがはじまって以来、「下げたら買うぞ」を勉強会などで徹底的に世に宣言してきた。そして実行してきた。暴落がはじまってしばらくは、「買いまくってます!」という勉強会や電話口での説明とは裏腹に、運用チームではきな臭い動きを敏感に捉え、やや抑え気味だった。そして毎日のように、運用の現場と顧客応対の現場がぶつかり合い、この暴落をどう乗り切るかを徹底的に議論していた。しかし、「買うぞ」に呼応するファンド仲間の勢いに勝るものはない。その結果、皆で一緒に暴落相場に立ち向かったのだった。

第9期の終りごろの7月の月次報告書では、「この1年間で900億円を大きく上回る買いを断行しました。さわかみファンドのサイズで、これだけ巨額の買いは、世界でも例がないのでは」と書いている。それほどまでに、さわかみファンドもファンド仲間の皆様も、意気軒高もいいところだった。

そういっている間にも、さわかみファンドの基準価額は18,000円台から14,000円台にまで下がった。ファンド仲間の皆様からは、ずいぶんと軍資金が届けられたものの、基準価額の急速な下げには申し訳ない気分がどんどん高まっていった。