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2014年12月3日訪問(京田辺工場)/アナリスト 坂本 琢磨

 

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株式会社椿本チエインは産業用スチールチェーンで世界シェア27%を誇るトップ企業です。今回はそのチェーン製造において世界最大規模を誇る京田辺工場を訪問してきました。チェーンは軸間寸法が数ミリのプリンタ用から1m以上の鉄鉱石搬送用まで、身近なところではジェットコースターやエスカレータなど動力伝動や搬送が必要なところには必ずと言っていいほど使われる機械部品です。さらに用途が異なれば、必要となる性能や特徴、求められる価格も全く異なってきます。現在では材料や設計、熱処理の方法などを変えることで品種は2万種類にも増え、生産本数も用途によって大きく変動します。

 

そのような多品種変量なチェーンの生産を支えるのがマザー工場でもある京田辺工場です。これまで完成車や自動車部品、タイヤなどの工場を見てきましたが、そのどれとも違う多品種変量ならではのこだわりが随所に見られました。個人的に最も印象深かったのは、熱処理場です。現場には高さ2mほどの大きな炉が10台程度、所狭しと並んでいましたが、これだけの数の炉を持つ工場を初めて見ました。案内して頂いた社員の方によると、かつて東洋一と呼ばれたそうです。チェーンは用途に合わせた性能を引き出すために、原材料である鉄を熱処理します。加熱する温度や時間、加熱時の炭素や窒素の濃度などによって硬さや柔らかさなど、出来上がりの特性が変ってくるため一種類の炉では対応できません。また一部分だけを柔らかくするなど特殊な熱処理方法もあり、これだけ多くの種類の熱処理設備を使い分けているメーカーは世界的にみても数少ないでしょう。設備自体は20年前の古いものも多く決して近代的には見えません。しかし、そこに同社の100年近い歴史やノウハウの蓄積が染み込んでいるように感じました。

 

同社は2017年に創業100周年を迎えます。今後とも多品種なチェーンを安定供給し、私たちの生活を縁の下から支え続けてくれると期待しています。


参加されたお客さまの感想
●現場の3Sや識別管理がよくなされており、同じ製造業に携わる者として非常に好印象かつ参考になりました。
●誇りを持って仕事をされている事が感じられました。工場の作業工程も合理的でした。
●世界に冠たる見えない縁の下の力持ちだと思いました。頑張ってください。
●差異化を維持してトップを走ることの困難さを感じます。他の追随を許さない技術開発に期待します。
●単純な部品構成ながら、種々の用途に対応して製品を展開されているのは流石。工場見学、大勢の皆様にお世話いただき、有難うございます。
●工場全体が整理されており、社員の方々もほとんど立っての作業、感激しました。さらなる発展、祈っております。
●今後日本はトップにならなければ生存できない立場になってきているので、世界のリーダーとしてイノベーションを連続してほしい

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