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目指すは世界の手本 
 
 常に先を進まれているということですね。しかし、まだ介護というのは産業と呼べるほど成熟したものにはなっていないですよね。 
 
 日本の介護保険がスタートしたのは2000年です。はっきり言って欧米等、介護先進国と比べると20 ~ 30 年近く遅れています。今、欧米各国がたどった課題を5 ~ 10年かけてクリアしているという状況です。
 日本の介護保険がスタートしたあたりから、色々な企業がこのビジネスに乗り出してきました。今、当社のシェアは有料老人ホームで
約3%、サービス付き高齢者向け住宅で約4%なので非常にシェアが低い。私の言葉で言えば弱者連合みたいなところがあると思います。だからやっぱり国に対して意見できるようになる為には10%以上のシェアをとっていきたいですね。 
 
 それはやはり、国自体も介護問題に対して成熟していないということでしょうか。 
 
 そうですね。日本は今、世界に例のない超高齢社会へと加速しています。そしてこの超高齢社会を日本の医療、介護、福祉でどのようにクリアしていくのかと、諸外国は固唾を呑んで見守っているところだと思います。
 今介護は10 兆円ビジネスです。2025 年には20 兆円を超えるビジネスになるでしょう。日本が財政面もサービス面もうまくコントロール出来たら、諸外国は日本に教えを請いに来ると思います。これは一つの企業で解決できる問題ではありません。業界をあげて、そして国とタイアップして対応する必要があります。
 
 サービス業は海外へ輸出できないので、生産性の改善を数字で指摘されることがありますが、サービスの質を比較することはできないので、一概に低いとは言えない部分があると思います。今後日本が課題を克服すれば、輸出できなかったサービス産業もビジネスモデルとして輸出できるようになるかもしれません。
 
 教育システムのノウハウ、オペレーションの方法、ケアプランの作り方。輸出できることはいっぱいあります。
 海外からのお話しもあるんですよ。中国の土地を買って資本提携すれば勝てるから一緒にやろうと。でも我々が頑としてやらないのはまだ国内でやることが沢山あるからです。先程お話しした定期巡回随時対応型介護サービスとか、その切り札となる在宅老人ホーム等の仕組みを作る事が先決です。海外はまだ先ですね。
 
 本当にビジネスと割り切って考えれば、どんどん海外に行けば稼げるかもしれません。しかし、御社は目の前の顧客のニーズにいかに応えるかを一生懸命考えられている点も、私たちが投資する意義を感じる点です。 
 
 私が社長になった2007 年くらい、よくアナリストに「なんで有料老人ホームだけをし
ないのですか?サ高住なんて利益がでるかわからないし、赤字じゃないですか。」と言われました。ただ、できあがって軌道にのったら喜んでくれましたけどね。損得勘定で言うと何かに絞ったほうがいいのかもしれませんが、我々は今の日本の介護において、何をやった方がいいのかということを、愚直ながら真面目に考えている企業グループだと思います。
 
 だからこそ応援したいと思えました。これからも介護業界を引っ張る企業として走り続けていただきたいと思います。 
 
 

 

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株式会社メッセージ 
代表取締役社長
古江 博 
1950 年鹿児島県生まれ。1974 年株式会社西友ストア(現:西友)入社。
2003 年株式会社九州西友 代表取締役社長就任。
2006 年株式会社メッセージ入社。
専務取締役執行役員を経て、2008 年8 月から代表取締役社長(現任)。
2015 年6 月24 日、退任予定。 

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