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デバイス事業を続ける理由

 
 一方のデバイス事業ですが、こちらはメディカル事業に比べてあまり利益率が良くありません。祖業だからという理由以外にも長期的な戦略がおありかと思いますが、いかがですか。
 
 それはよく質問されます。売上構成比率は、メディカル事業が85%、デバイス事業が15%です。もう止めたらなんて言われますが、色々な産業機器分野での製品技術が、医療で応用できるというケースが多く、弊社を支える技術基盤として非常に重要だという認識を持っています。また、産業部品としてお付き合いする色々なメーカーさんの思惑やトレンドを知ることで、品質基準を学んだり、我々の方向性やブランディングを確認することもあります。そのような効果もあってメディカルとデバイスの技術循環を行っているという訳です。
 
 決算説明会の資料ですが、上場する以前から売上高に対して7~8%程の研究開発費をかけていらっしゃいます。これは研究開発競争が激しい自動車部品メーカー並にとても高い比率だと思いますが、当時は苦しかったのでは?競争力をつけビジネスを拡大させる必要もありますが、ステークホルダーの方々には多額の研究開発費はすんなり受け入れてもらえたのでしょうか。また、従業員にはそれを乗り越えてカタチにする企業としての大きなビジョンをどのように見せてきましたか。
 
 創業者である会長自身の生き様といいますか、社是に「技術の開発は我が社の生命であり新しい技術、商品の開発に挑戦する」とあります。商品開発は会社の魂であり根幹です。そこは絶対に曲げないと強い意思を持ってやってきました。確かに株式公開前は非常に財務体質も厳しく、資金繰りで苦労した時期もありました。それを脱皮できたのは株式公開がきっかけです。苦しい時期も踏ん張れたのは、社員のなんとかやってやろうという風土にありました。
 
 上場で財務体質が改善されたという、上場の本当の意義を実感されたのは素晴らしいですね。現在の飛躍はそういった経営基盤が固まったことが大きいでしょう。一方で、御社のように研究開発型の企業では5~10年の施策が必要なのに、上場した結果短期的な利益を求める株主比率が高まる懸念はありませんか。残念ながら、そういった圧力の影響から変わっていってしまった企業の例もあります。これは御社の成長曲線にはマッチしません。長期目線の株主(代表例として個人)へ広める施策はありますか。
 
 弊社は、顧客の方々がドクターや企業様であるため、一般の方々には馴染みが薄く、知名度においてはまだまだ低いと言わざるを得ません。まずは弊社のことを知って頂くことが重要だと思っています。そのためにも、個人投資家向けや、証券会社の営業員向けの説明会などを定期的に実施しています。弊社は、機関投資家の保有比率が高いのですが、反面、個人株主数の増加が課題の一つです。今後も、定期的なIR活動を通じて、皆様方のご支援を頂ければと存じます。そのような中、このような機会を頂き、感謝しております。
 
 
 

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朝日インテック株式会社
代表取締役社長
宮田 昌彦 様

1992年3月、関西大学大学院電子工学専攻修了。
NTTデータ通信㈱を経て、1994年11月、朝日インテック㈱入社。
経営企画部長、メディカル事業部長等を歴任。
2009年9月、代表取締役社長に就任。

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