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協和発酵キリン株式会社・高崎工場(群馬県高崎市)

 

抗体医薬品などのバイオ医薬品を生産する協和発酵キリン株式会社。 今回は、バイオ医薬品の製造を行う高崎工場を訪問しました。

 

 

 

 

 

 

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13:30 会社概要説明

IR グループ長・廣田様より会社概要をお話いただきました。幅広く展開する研究・販売活動や、今後海外展開を進める3つの製品について詳しくご紹介いただきました。

 

 

 

 

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14:20 工場内見学
工場長の新井様から生産過程についてお話いただいた後、見学へ。
クリーンルーム内は立ち入れない為、窓越しに見学。細胞を培養する12,000リットルのリアクター(タンク)。一度に大量の培養を行い精製する最新システムです。

 

 

 

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14:40 原液抽出の為の機械を見学
遠心分離機で目的タンパク質を分離します。

 

 

 

 

 

 

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15:00 精製機械を見学
培養液から精製カラムを用いて目的タンパク質を精製。

 

 

 

 

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15:20 講演・質疑応答
バイオ生産技術研究所所長の藏夛(くらた)様よりお話いただきました。バイオ生産技術を支える当研究所の働きにより、高崎工場での安定した製造を実現しているとのこと。研究所と工場の連携により、同社が一丸となって研究開発と製造を行うことが理解できました。

 

 

 

 

 


 

独自の抗体技術で世界の人々に健康を!

 
生体防御システムを治療に
 
 関東地方が梅雨入りした頃、約30 名のファンド仲間の皆様と協和発酵キリン株式会社の高崎工場を訪問しました。同社は、2008 年協和発酵工業とキリンファーマが、それぞれ培ってきた抗体医薬の先進技術や重点領域における研究・開発力を融合させるために誕生しました。
 
 「がん、腎、免疫疾患を中心とした領域で、画期的な新薬を継続的に創出し、世界の人々の健康と豊かさに貢献する」を事業ビジョンにあげ、人間に備わっている防御システムの主役である「抗体」を医薬品として治療に活かすための研究開発をおこなっています。
 
 今回訪問した工場はバイオ生産技術研究所が隣接し、研究生産一貫の連携体制となっています。加えて、最先端の培養設備と技術が集積している国内有数の施設です。一般的な低分子化合物の医薬品製造工場とは異なり、抗体医薬は生き物相手の製造です。製造工程は概ね次のようになります。①細胞に遺伝子組換えを行い、必要とする「ヒト抗体」を作る細胞にする。②良質な細胞を選抜する。③選抜した細胞を培養する。培養は小さな三角フラスコから徐々に規模を大きくして、医薬品として使用できるくらい大量の目的抗体タンパク質を産出しています。こうして産出されたタンパク質が抗体医薬品の原薬です。原薬を製剤のレベルへ加工して出荷します。
 
抗体医薬製造設備の最前線
 
 工場敷地は東京ドーム2.7 個分あり、その中に原薬製造棟が七つあります。(ツアー催行時点)今回はその中のHA4(1 品目大量生産が可能な棟)を見学しました。一昨年4 月に竣工した、同社にとって非常にホットな施設です。この棟への移動中、緑の芝生に覆われた広い敷地の奥に朱色の鳥居が何本か見えました。ファンド仲間の方が質問をすると、この工場で製造する新薬が誕生(上市)する度に1 本ずつ建てているとのこと。「もっと多くの鳥居が建ちますように」と全員で祈りました。
 
 HA4では、まず培養工程を見学。1 ヵ月以上かけて1 ミリリットルの培養液から最終的には12,000 リットルという国内最大級のステンレスリアクター(タンク) で大量培養します。ガラス越しに見る工場内はステンレス製の美しい装置や配管が整然と並び、ほぼ全自動で制御されています。細胞の培養状況の確認は、まるで子どもの生育を確認するように人が行います。次に、精製工程は細胞が作ったタンパク質と細胞やその他の不純物を分離する工程です。円錐を上下合体させた宇宙船のような遠心分離機や高価な樹脂が詰まった精製カラムなどを介して、目的のタンパク質だけを取り出します。
 
ポテリジェント技術を開発
 
 抗体医薬はがん細胞などの標的を狙って作るため治療効果が高く、標的以外にはほとんど作用しないことから副作用は限られます。こうした点から低分子医薬よりも抗体医薬の治療選択をしたくなりますが、問題は製造コストがかさむために薬価が高くなるという点です。低分子医薬に比べ、高価な培地や各種装置などを必要とする抗体医薬は生産コストがかかります。同社は、生産コストの低減が困難であるなら、抗体を改変して薬効を高め、投与量を少なくすればよいと考えました。こうして開発されたポテリジェント技術により、抗体のがん細胞など異物殺傷能力はそれまでの50 倍から1,000 倍に高まりました。この技術は他社へも導出して技術収入を得つつ、抗体医薬の普及と世界的な価格低減に貢献しようとしています。
 
バイオ医薬品企業として傑出
 
 見学後のQ&Aでは、抗体医薬の創出には10年から20年かかるという話がありました。実際同社は合併前の80年代から各々バイオ医薬品に参入し、これまでに数種のバイオ医薬品を世に送り出してきました。現在はがんや遺伝性くる病用抗体医薬品の欧米上市を目指して治験中で、達成すれば海外での飛躍的な成長が期待できます。
 
 今後は、これまでの知見をベースに、オープンイノベーションも組込んで研究開発スピードを上げ、抗体医薬に留まらず、核酸医薬や再生医療といった分野も視野に入れてバイオ技術を進化させるとのこと。どんなに成長しても、培養中の細胞を単なる資財扱いせずに慈しんで育てる同社であれば、結果的に高品質・高効率生産のバイオ医薬品が生まれて来ると信じています。世界中で「たった一度の、いのちと歩く。」同社を、これからも私たちは長期投資家としてしっかりと見守り、応援していきたいと思います。
 

 
 
 
【アナリスト 大澤 眞智子】
 
 

 


参加されたお客さまの感想
 

●長寿社会になり、こういった商品の貢献度は非常に高いと思います。10年と長いスタンスで使命感をもって取り組まれているのが、とてもよかったです。
 
●①近代的工場と社員従業員の接遇が素晴らしいことに感心②全産業の集約的支持が必要だと思った。
 
●本日はお忙しい中、御対応頂き有り難うございました。今日、詳しいお話の出なかった遺伝子組み換えをはじめとして、大変な技術の高さを感じました。世界に伍していける日本のメーカーとして、今後活躍頂ければと思います。
 
●国内で生産されているのはすばらしいことだと思いました。海外の売上を5割にするとのことですが、比率にこだわらずに成長を続けてほしいです。
 
●会社の活動内容が良くわかって、実際の設備も見ることができて満足しました。工場と研究所に関する説明がわかり易くて良かったです。
 
●高崎市民はキリンビール(工場)の名前を知っているが協和発酵キリンの理解度はいま一つと思います。ビール祭の様にはいきませんが、健康祭のような企画を通してPRしてはいかがでしょうか。
 
●多くの方(500人)が働いている、活気あふれる工場。神社の鳥居の数が増えていくことを願っています。
 
●利益を確保して欧米に負けないすばらしい薬を開発していって下さい。
 
 
●地球人が健康に生活できる、薬や食品メーカーになって欲しい。医薬ブランドで世界No.1を期待します。静かな生産環境でした。
 
●移動の途中ですれ違った女性職員の方が笑顔で挨拶してくれたのが、印象的でした。良い雰囲気の会社だと感じます。
 
●今後、ますますの躍進を祈念しております。バイオの業界でのリーディングカンパニーになれますように…。
 
●今後も、がんなどの病気に対する治療薬を安価で製造できる様、お願いいたします。

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