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カザルスとの対話
J.M. コレドール著
白水社

 長期投資は単に運用成績を追い求めるものではない。より良い社会をつくっていくため、お金をどう経済の現場にまわしていくかを常に意識していなければならない。誰のため、なんのために運用するのかといった理念や哲学が問われるわけだ。
 そのためには、人間性を磨いたり、品格を高める努力が欠かせない。その時、身近な師匠となってくれるのは、読書である。
 その人の生きざまや精神性の高さですばらしいといわれた人々を、あれこれ当たっていて出会ったのが、パブロ・カザルスであった。
 スペイン生まれの世界的なチェロ演奏家、パブロ・カザルスはスペイン内戦でフランスへ亡命して以降、2度と故国の地を踏むことはなかった。終生フランコ独裁政権への抗議と反ファシズムの立場を貫いたことで有名。

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 カザルスは演奏家としての命でもある公演活動を、あえて停止してでも自分の良心に従った。その頑なまでの姿勢がどれだけすごいものか、オペラ財団の活動をはじめてみて、あらためて驚嘆させられる。
 オペラ歌手や演奏家たちは、日頃の修練を人前で披露することに、それこそ命をかけている。人生そのものといっていい。
 その公演活動を一切やらないと宣言し、カザルスはスペイン国境に近いプラドに移り住んだ。そこでチェロのレッスンをするだけとなったが、さすがに世界が放ってはおかず、カザルスの下へ集まりプラド音楽祭が開催された

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