投資家も企業も社会も、すべてよしの世の中を目指して

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投資先企業の選定プロセス
 
 では、責任ある投資家として、どのように企業を調査し投資判断をしているのか具体的に教えてください。
 
 今後の生活に必要な商品・サービスを把握するには、今後社会がどのように変化していくかを想像してみることがとても大切です。大きな変化を想像する際には、人口動態に注目しています。
 
 図1は、従属人口(14歳以下と65歳以上)に対する生産年齢人口(15~64歳)の比率になります。これまで主要国では、生産年齢人口が上昇トレンドでしたが、今後2050年に向けて下降トレンドが予想されています。この図をみると、先進国では高齢化によって高齢者を支える働き手がどんどん不足していくことが分かります。
 
 日本では少子高齢化が当たり前になり過ぎていますが、実際に働き手がいなくなり、これまでと同じようなサービスが受けられなくなりそうですね。 
 
 “少子化”と“高齢化”、日本ではこの2つが同時に起きているので、高齢化を支える働き手不足が急速に起きているのです。江藤さん、このような社会で、今後何が必要だと思いますか?
 
 人手不足を補うロボットとかですかね? あ、そういえば、最近物流でトラックの運転手不足が問題になっていますね。
 
 人口動態から考えると、運転手不足の問題は一時的な問題ではなく、ますます続くことが考えられます。今後先進国では、3K(労働環境が過酷である職業)の働き手が不足していくでしょう。現在話題となっている自動運転の技術は、乗用車に搭載されるよりもトラックなどの商用車にいち早く採用されると思います。また物流倉庫内の仕分けにおいてもロボットや自動搬送機などがさらに使われていくと考えられます。土木建築分野でも働き手の不足が懸念されますが、建機などの分野でも自動化が進められています。実際にオーストラリアの鉱山では2年前から無人トラックが稼働しています。最近ではショベルカーやブルドーザーも自動で作業を行えるようになっています。IoTで建設現場全体の進捗と連携して動くようになるでしょう。農業機器でも同じように自動化とIoTによる人手不足と生産性の向上が同時に行われようとしています。
 
 介護業界の人手も今以上に不足しそうですね。
 
 介護業界では、介護する側も高齢化が進み、体力面の負荷も問題になるでしょう。ベッドから車椅子への移動をお手伝いする動作は介護者の腰に負担がかかります。仮に体に装着して体の動きをアシストするロボットがあれば介護を楽にすることができます。高齢者自身もアシストされることで自立でき、リハビリにつながるなどの効果も考えられます。
 
 「今、これが流行っているから」、「これからこれが流行りそうだから」という、流行を追いかける投資ではなく、私たちが将来暮らす社会に本当に必要な技術やサービスから考えていくことがさわかみファンドの企業選定なのですね。
 
 そうです。そして必要な商品・サービスから企業選定が済むと、次は財務諸表などを分析して現在の企業価値を算出します。その後、将来10年分の財務諸表を作成し、今後の企業価値を算出します。これらをまとめてアナリストはレポートを作成して、運用会議にて運用調査部全員で議論して投資判断を行っています。株式の売買は、この会議で決めた企業価値と照らし合わせて、安いときに買い、高いときに売っているのです。