日本に、本物のオペラ文化を。 そして、かっこいいお金の使い方を。

2015年9月姫路城にて『道化師』

当社の経営理念には、「お金は天下のまわりものである。長期投資で得たリターンは広く世の中にお返ししていこう。」という一節があります。お金は貯めるものではなく、使ってこそ価値を成すものです。お金の使い道でこれからの社会はつくられます。そのため、さわかみグループでは、お客さまからいただいた報酬を無駄に使わず、得た利益の一部を大切に世の中にお返ししようという想いでいくつかの団体が活動しています。本日は、さわかみグループから生まれ、その後、より広くもっと多くの方にオペラ文化を広めたいという想いで公益化した「さわかみオペラ財団(正式名称:公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団)」についてご紹介いたします。
オペラは芸術の華とも、最高の芸術ともいわれ、欧米の社交界では中心的な存在となっています。それもあってか、日本ではオペラというと高尚な貴族趣味で、とかく敷居の高いものとみなされがちです。もともとオペラは一般大衆の娯楽として、人々の間で広く愛されてきました。人々は、喜びにつけ悲しみにつけ、オペラに慰められ励まされ、共感し、心の糧として親しんできました。ヨーロッパではそういったオペラ文化が根付いていて、社交界の華でもある一方で、ごく身近で人生に欠かせない楽しみでもあるのです。生活者に身近でかつ芸術性の高いオペラ文化を日本でも広めたい、世界の人々に愛されるような日本語のオペラを一曲だけでも世界に出したい。弊社会長澤上篤人の社会に対する想いによって「さわかみオペラ財団」はスタートしました。
さわかみオペラ財団では、これまで “姫路城”、“平城京跡第一次大極殿”等、世界遺産でもある重要文化財を舞台に公演を行ってきました。これには、日本の文化とイタリアの文化の融合にこだわった熱い想いが込められています。コンセプトは『共同制作』。すなわち、既に出来上がったものをイタリアから運んできて日本で上演するのではなく、日本とイタリアが力を合わせて新しい魅力を生み出すことにこだわりました。雰囲気として野外会場を楽しむのではなく、文化遺産そのものを舞台装置にしてしまうという野外オペラはイタリアでもないと聞いています。例えば2016年に上演した平城京跡では、大極殿という素晴らしい日本の文化遺産を『借景』として最大限生かすために、観客席から見たときの建物の見え方や、大極殿を印象的に見せるための舞台装置の配置を綿密に設計しました。歴史上初めて平城京でオペラが行われる訳ですから、全くのゼロからの挑戦でした。
平城京史跡の使用許可申請や指揮者、演出家との打ち合わせ、イタリアとの契約や舞台デザイン・大道具・衣装の準備・ソリストオーディションの実施、合唱や助演などの出演者募集、舞台設営や照明プランの手配、海外からの渡航と滞在の準備等々、そして本番に向けての稽古、総勢約400名の出演者・スタッフが1年半もの期間を費やして一つの舞台を作り上げました。
私は2年前の姫路城公演を、夏季休暇を兼ねて家族と鑑賞してきました。私にとってオペラは初めての体験。「何も理解できないまま終わるのではないか…」という一抹の不安は会場に到着した直後にかき消され、舞台のスケールの大きさに圧倒されてしまいました。姫路城の白漆喰で塗り込められた優美な姿と、マエストロの吉田氏をはじめとする出演者全員の迫力。こんなにすごいものをゼロからつくりあげてしまうなんて…と、大変興奮したと同時に、芸術にお金を回して社会をつくることの意味を身体で実感した夜となりました。

2015年イタリア留学助成合格者第1期生 武井基治さん(テノール)

人は、良い音楽を聴いたり良い絵を見ると、豊かな気持ちになり笑顔になります。芸術に費やされたお金が芸術家を育て、より多くの芸術を生み出し、さらに豊かな気持ちになる。そんな循環を作るべく、さわかみオペラ財団では、OperaAmici(オペラ・アミーチ(=友達の意味): 賛助会員とファンクラブ会員の総称)という仕組みを作っています。オペラをはじめとする芸術を、一人、あるいは数人のパトロンだけが占有するものでなく、大勢の人が少しずつ寄付して支え楽しむことができれば最高です。いつの日かOperaAmiciの会員だけでもって意欲ある芸術家を育て、最高の舞台をつくりたいという想いで活動を続けているさわかみオペラ財団の今後の活動にご注目ください。
(直販部 江藤香織)

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