江藤新平

「江藤新平」
杉谷 昭 著
吉川弘文館

歴史が好きで、いろいろな書を勉強してきた。歴史書の多くは、勝者というか生き残った人々に有利な解釈が多く、敗者に対する記述はどうしても厳しめになる。そうなるのは否めないとしても、消し去られた敗者がどんな人だったかにも興味を抱いた。
それで、西南の役の西郷隆盛と並んで明治新政府を悩ました佐賀の乱で、それを主導した江藤新平がどれほどの「悪党」かと思って、本書を手に取った。読めば、すさまじい人ではないか。頭は切れるし、弁は立つしで初代司法卿になるべくしてなった人物。
すごい人だったんだと感銘を受けた。同時に、あれだけ正論をこれでもかこれでもかと投げかけてくると、周りから浮いてしまうのも仕方ないのかもしれないとか、あれやこれやの想定はどんどん広がっていった。
この本をきっかけに、吉川弘文館の人物叢書シリーズを数多く読むことになった。
長期投資とあまり関係がないかもしれないが、歴史上の人物を一人ひとり追っていくと実におもしろい。それも、勝者の裏でひっそりとしているものの、歴史の転換期に大きく関与した人物たちの像は、歴史の勉強をぶ厚くしてくれる。
多くの人たちが、ほんのちょっとしたことで勝者になったり、敗残者として評価を下げられたりする。ほんのちょっとしたことの中には、その人それぞれの運不運もあるし、時の利や天の利といったものが絡んでくることもある。