「さわかみファンド」運用報告会2017 開催のご報告

 

本年で5回目の開催となりました、「さわかみファンド」運用報告会を9月2日(土)にマイドームおおさかにて開催いたしました。「さわかみファンド」の投資先である30社の投資先企業様にもブース出展やセミナーでの講演という形でご参加いただき、おかげさまで当日は約1,800名ものお客様をお迎えすることができました。
無事故で会を成功に導くことができましたことはご来場いただいたファンド仲間の皆様、そしてご協力いただいた投資先企業の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

【出展企業プレゼンテーションご紹介】

日本電産株式会社
代表取締役会長兼社長(CEO)
永守 重信 様

当社は1973年に従業員3人、合計4人で創業いたしまして、今年で45年目に入りました。非常に大きな成長をずっと続けてまいりまして、現在もなお、成長段階にある企業です。

私が初めて海外の投資家向けに説明会に行った1995年を基準にして、過去20年間強で株価が61倍になっています。当然、業績に株価は連動しているので、業績(営業利益額)もこれまたビシッと61倍になっています。業績が上がって、それに伴って株価も上がるということをずっと繰り返してきています。

大事なことは、これからもっとこの会社は成長していくということです。私としては売上1兆円を超えてやっと本格的な成長のスタートに来たかなという印象です。自宅で本当にゼロから始めた会社が、売上が100億円を超えるのに12、3年かかりました。それから、100億円から1,000億円、これも、だいたい同じぐらいの時間です。さらに、1,000億円から1兆円、これは、ちょっとリーマンショックがありましたので2、3年遅れましたが、それでも、だいたいよく似た年月で1兆円まで来ています。だから、次は1兆円から、2030年に10兆円と言っています。10兆円。これもだいたい同じ時間軸で行くんじゃないかということをここで申し上げておきます。

業績は、基本的にきちっと増収、増益を繰り返しています。そこそこの期間、日本電産の株を持っていただいて、損をしたという方がおられたら、手を挙げてくれますか?6月の株主総会でもそれを申し上げたら、誰も手が挙がらなかったです。長年にわたって、株価も上場来高値を更新しているという現状です。

会社というのはいろんな事業をやりますが、その事業がどこかでピークアウトを起こして、そして、事業自体がなくなっていきます。最近でしたら、パソコンとか、あるいは、デジタルカメラとかです。デジタルカメラにはたくさんモーターを使っています。しかし、デジタルカメラはなくなっていって、今度はスマートフォンに変わりました。スマートフォンの中にもモーターを使っています。そしてパソコンもなくなっていく。そのため、新しい事業を次々とやっていかなければなりません。これはすなわち、事業のポートフォリオを転換するということですが、これが非常にうまくいっています。新しい事業と言っても基本的にはモーターを中心とした事業の展開が広まっていっています。

私がこの会社を創業したとき、モーターが産業の米になると確信していました。米とは主食です。1980年までは、鉄が産業の米でありました。橋をつくるのも、ビルをつくるのも、車をつくるのも、全部鉄が中心でした。1980年以降は、半導体が産業の米に変わりました。そしておそらく、2025年ぐらいにはモーターが産業の米に変わっていくと思います。

昔、私がこの会社をつくったときに、一つの家庭にモーターが何個あるかと調べましたら、1973年は、家庭にまだ3個でした。その当時アメリカへ行きましたら60個です。だから、この事業は非常に有望だと思ってこの会社をつくりました。周りの人は、「日本の生活水準がアメリカ並みになるのには100年かかる。そんなに簡単にいくか。」と言われました。しかし、もう、あっという間に日本は近代化を遂げて、ありとあらゆるものにモーターが使われています。冷蔵庫に洗濯機、エアコンとモーターを使っていないものを探す方が難しい。ものすごい勢いでモーターの普及が進みました。とくに、我々は消費電力の低いモーターを生産してきました。

世界の電力量の55%はモーターが消費しています。たとえば、消費電力の低いモーターを使えば発電所は要りません。モーターの効率を1%改善するだけで、タイ一国の電力が賄えます。今、われわれに引き合いが殺到しているのは消費電力の低い優れもののモーターを作っているからです。

これから、車はエンジンがなくなって、全部ガソリンがいらない電気自動車に変わっていきます。電気自動車というのはモーターとバッテリーからできているようなものです。現在のガソリン車で、だいたい平均でモーターが約80個載っていますがこれが電気自動車になると、200個載ります。

我々はほかにも産業用ロボットなどもつくっています。これもモーターの応用製品です。ロボットは開ければモーターだらけです。2050年には300億台の人間ロボットが働いていると言われていますが、ロボット1台に500個、指だけで76個、これだけ使うわけです。そしてこれからはドローンですね、今はカメラでの撮影や物を運ぶだけですけれども、これからは、人間が乗って飛ぶ時代が来ます。通勤の満員電車がなくなって、みんな飛んで行って飛んで帰るようになります。これには非常にコンパクトな軽いモーターが必要ですが、我々は、対応できるものすごい技術力を持っています。

この会社の最大の株主は私です。配当ももちろん大事ですけども、そのお金を使わせていただいて、もっともっと投資をさせてもらいます。そして、これから会社をもっと大きくしていきます。

▲日本電産ブースでのミニセミナー風景。こちらも大盛況でした。


多くのM&Aをされてきた中で理念や企業文化の違いをどう乗り越えてきたのか?
永守会長(以下永 私はこれまで合計56社の会社を買いました。大概、買った会社は、潰れる寸前ですね。本来、会社って、当たり前のことを当たり前にちゃんとしていれば、必ず儲かるようになっています。
これまで潰れかかっている会社を買ってきましたけど、今、全部儲かっています。失敗ゼロです。それはなぜかと言うと、世界中どこへ行っても言葉が違うだけで、社員を大事にするという当たり前のことは全部一緒です。「お前は能力がないから、辞めてもらう」なんて45年間言ったことはありません。能力や一流大学を出てないなんてことは関係ないです。一生懸命頑張っていれば、大丈夫です。これが私の今までの方針ですね。

多国籍企業になられて、幼児の英語教育についてはどういうふうにお考えでしょうか?
 私は、そんな小さな子どもから英語教育をやる必要はないと思います。英語は、学問じゃありません。学問なら早くやらないといけませんが。慌てなくても、私は中学入ってから、もしくは高校生からで十分と思っています。
まず話す英語を教えないといけません。例えば、メキシコの人がアメリカにやって来て、最初は書けないし読めない。最初は話すわけです。ホテルとかで働きながら。日本の場合は、先に読み書き、文法をする。だから話せない。日本人だって、文法どおりの日本語を話しますか?話す英語をまずやらないといけません。

人材育成はどうされていますか?
 最後は、会社はすべて人材です。人がすべてを決める。頭がいいからといって、仕事ができるとは限りませんし、経営がうまいとも限りません。また利益を上げる方法を知っているとも限りません。
私の三大経営手法は、井戸掘り経営、家計簿経営、千切り経営、この三つです。こんな簡単なことができないのかと。これをすると、利益が必ず出る。だから、わが社、グループ会社も赤字なんか1社もありません。
本社の前にグローバル研修センターをつくりました。現在、世界43カ国に会社がありますが、そこから順番に人を呼んで人材育成やっているわけです。外部から採ってもなかなかいい人がいないので、採ってからの教育が大事です。会社も一緒で、買ってからの経営が大事ですね。
世界から人を集めて教育して、また世界へ戻すと。これをこれから何十年とやっていきます。ただ働けというだけでなく、教えるべきことをちゃんと教えていかないとだめですね。こんな施設がある会社は少ないですよ。幹部はもちろん、一般社員もここで研修をやります。ここでいろんな話を聞かせて、いろんなことを勉強させるわけです。

約45年間経営されてきた中で一番苦労されたのはどの点でしょうか?
 やっぱり、最初の創業10年ぐらいが一番辛かったですね。お金がないんです、全く。銀行も担保がないとお金を貸さない。だから、その当時、今はだめですよ、当時は生命保険が担保になりました。恐ろしい話ですよ。
まず、銀行からお金を借りました。私自身の個人保証、それから連帯保証人が3人必要で、これは私の兄弟の長男、次男、三男がやってくれました。僕は四男です。もしも会社が潰れたら、全部アウト。それでも担保がない。担保がないから生命保険を1億円かけるわけです。これわかりますか?死んで返せよってことです。本社の1階に創業記念館があるんですが、そこには私が昔入った生命保険の証書がずらーっと並んでますよ。
当時、僕の知り合いも何人か会社をつくりましたが、全部潰れました。7人が会社をつくってそのうちの3人が自殺しました。昔は潰れたら、もう死ぬしかなかったですね。この時期はもう、死を覚悟してやらないかん。おそらく、創業者、会社をおつくりになった方の苦労は、ほとんどお金の苦労でしょう。
あのときに銀行がお金を貸してくれんから潰れたんやとか言う人いますが、これは間違いです。やっぱり自分たちの会社は、自分たちで守るしかないんですよ。一生懸命働いて自分たちで自分たちの会社を守ると。この気持ちがなかったら会社は危ないですね。

今日のテーマは、「夢をかたちにする経営」ですが、夢を実現するために三つ大切なことを挙げるとしたら何でしょうか?
 まず、経営というのは何かと言いますと、社員をはじめ、投資家も入れて、夢をかたちにしないといけません。かたちにしないとわからないんですよ。
そのために1番は一生懸命に働くことです。私が、もしも明日、もう一回、この日本電産を辞めて、永守電機製作所をつくったら、明日からまた一日16時間働きます。当たり前です。今、日本の政府は、働くな働くなといっぱい言っていますが無責任です。会社がおかしくなろうが政府には関係ありませんから。もちろん生産性が低い、働き方が悪いというのを変えて早く帰るのはいいですよ。今の日本電産みたいに1兆円企業になったから残業ゼロと言えるわけです。自分の夢をかたちにするには、まず、夢に向かって一生懸命働かないといけないのです。
それから、夢をかたちにするには、心だけではいけません。お金が必要です。「あの会社は儲けのことばかり言っている」とお金儲けを馬鹿にする人がいます。でも、お金を儲けているからこそ社員を毎年採用できます。来年は500人、2020年になったら、1,000人の新入社員を採用できるわけです。中途社員も何百人も採用しています。それができるのは、健全な利益を上げているからですよ。お金は必要です。お金なくして夢をかたちにはできません。心豊かな人生というのもいいですが、でもやっぱり、子どもにも良い服を着せてやりたい、家族にも良い家に住ましてやりたいとなればお金が必要です。ちゃんと節約して、お金を貯めて、夢をかたちにするお金として使っていくというのが二つ目です。
三つ目は、人の力を借りることです。自分だけの力ではできませんからね。交友関係を大事にして、いろんな人の助けを得るということが基本だと、私は思います。