背中に感じるもの

上昇から始まった2018年の株式市場。新年の新聞紙面等では日経平均株価は今年25,000円までいくとのコメントが多く見受けられた。中には30,000円を試すというものも。この状況に個人投資家は悩ましく感じていることだろう。上昇相場の何が悩ましいのか? 相場の方向性が見えず投資判断が難しいからだ。投資を始めようと検討している人は今買ってよいのかを悩む。既に投資をしている人は一旦ポジションを減らして下落時に戻ってくるべきだろうかを悩む。要するに、どこかで下落するだろうと感覚的に思いつつも、有識者や相場自体が上を向いているため判断に自信が持てないのだ。

上昇相場がいつまで続くかは誰にも分からない。したがって私は、セミナー等でお会いする方々に対し「いつ頃から増やした財産を使う予定ですか」と尋ねる。個々人の財産形成の目的・金額・時期は違って当たり前で、税制や相場のタイミングに合わせることではないからだ。その上で、これから始める方には一度に買うのではなく10年間は“積立”をすることを薦める。既にお持ちの方には、10年以上引き出す予定がなければ保有・積立の継続を薦める。一方で2~3年内に資金の使途目的がある方には、必要分引き出すことを薦める。投資信託(アクティブファンド)はその中でキャッシュポジションをコントロールし相場変動に対応する商品であり、また個人が相場動向で売買を繰り返すのは複利効果を捨てることに繋がる。よって10年先までの余資は安心してお任せいただき、一方で使う目的のある分についてはいつでも引き出して欲しいと説明するのだ。

機関投資家やエコノミストらが上昇相場継続を謳う理由の一つに、日本株に相対的な割安感がある。株価を分解するとEPS(一株当たり利益)にPERを掛けたものとなる。そのEPSが世界的に上昇基調にあるためPERという評価軸で割安感が高まっていくと読んでいるのだ。現在は過去のバブル期と比較して相対的にPERが低い位置にあること、さらに世界で比較しても日本が出遅れていたことなどが昨今の日本株が買われた理由だ。以前に日銀やGPIFが日本株の下支えの役割を果たしてきたが、その意味ではようやく純粋な投資家(といっても外国人投資家が主だが)が日本株市場に戻ってきたといえよう。

公的マネーが買い支えてきた事実、世界的な金余り状態を考慮すると、如何にPERに割安感が見えたといっても今は積極的にはなり難い状況だ。この1~2年、週に3回以上のペースでセミナーに赴いているが、そこに投資未経験者が多いことに驚く。貯蓄から投資へは避けて通れない時勢、伴って税制優遇策や金融機関の積極的な宣伝で投資が盛り上がりつつあるとはいえ、にわかに投資家が増えることに不安を覚える。素人によるお金や投資のセミナーが乱発され、SNSで金儲けや無料で教える投資手法という触れ込みに背筋が何かを感じる。1月以降、急に暖かくなる日もあったが、現在も続くこの寒さは冬のせいだけではない気がする。

【代表取締役社長 澤上 龍】