規律からの脱皮 ~成長曲線を大きく超えた成長をしていくマニー~

 売上高100億円から1000億円に向かっていくときには変化が必要で、そのために変えていかなければならないことを見極めてやっていると。その時にやはりガバナンスと人材という点で、これまでと視点を変えなければいけないのではないでしょうか。
 まず、ガバナンスという点については日本で最先端のガバナンスを先代たちが確立してくれていると思います。2004年に委員会設置会社(現指名委員会等設置会社)をいち早く導入したり、当初より社外取締役を過半数にしたり、創業家がいかに自分たちの手足を縛るかということに腐心してやってこられていましたので。
後者の人材という点についてですが、こちらは大きな課題の一つだと思って取り組んでいます。2つありまして、1つはカルチャーの面で、今までは創業家という大きな太陽があって、それを見上げて仕事をしてきていました。これは100億円までのモデルだと思います。それはそれで優れた経営者がいらっしゃれば、機能すると思います。そこから先に行くには、やっぱり違うことを言う人がいろんなことを言い、多様な視線でリスク判断をし進めていくということが大事です。モノカルチャーではなく多様性がいいよね、それが力になるよねということを浸透させていかなければなりません。    一方で、実際に人をどうするのかという話があります。カルチャーの話と人をどうするかという話ですね。前者も絡んでですが、国籍や性別などにとらわれることなく優れた人にやってもらったほうがいいよねということを浸透させていきます。外国の人が生産面においては優れた面を持っていたり、あるいは我々の及ばないものがあればそれができる人にやってもらったりしたほうがいいのではないか、経営自体に入ってもらったほうがいいのではないかということになると思います。こういうことが早晩起こると思いますね。それが偉大な先人のやってきたことを補うことになると思います。実際の人と変貌を遂げたカルチャーとが相整ったところでやっていく、それが100億円を超えて1000億円に向かっていくということだと思います。

なぜ成長を目指すのか

 高収益の企業はそれほど成長を志向しなくてもいいというところもあるかと思いますが、成長を目指した理由はあるのでしょうか。
 我々の経営の目的は何かというと、ステークホルダーみんなに満足をしてもらおうという経営で、これがいい経営だと思っているわけです。株主様は当然のことながら、従業員もお客様も地域の皆様のことも等しく考えるということです。成長していないと各々が満足する配分ができません。2~3%の成長では足りないのです。利益面で最低2ケタの成長は必要です。だから我々はそれをやっていかないといけない。幸い2ケタの成長が可能な市場にいるので、それをやっていこうということですね。それとあともう一つは、我々の製品の提供を通じて、患者さんやお医者様の役に立って貢献していこうというのを企業理念として掲げています。2ケタ成長するということは貢献できる範囲が2ケタで広がっていくということなので、やはり成長は極めて重要だと考えています。
 自分の知っている身内だけが幸せだったらいいわけではなく、もう少し広く考えて、成長したほうが幸せな人たちも増えるし、今いる人たちも喜ぶということですね。
 我々の貢献というものは、世界一のものを皆さんにお届けするというところに意味があります。これが『世界一の品質を世界のすみずみへ』というモットーをみんなが背中に背負ってやっているという理由ですね。社員が3700人ぐらいいますけれどベトナムでもミャンマーでもラオスでも、みな背負っています。今までお話してきたことがどの企業にも当てはまるかどうかはわかりませんが、その裏側に、リソースが無い中小企業がそれをどう克服するか悩み、実際に克服してきた点が重要だと思います。
これから大きくなっていけば会社も変質していくだろうと思いますが、底流に流れているところは変わらないし、変えてはいけないのだと思います。

▲左:ブルゾンの背にプリントされた「世界一の品質を 世界のすみずみへ」というメッセージ。
 右:代表執行役社長 髙井様

マニー株式会社
代表執行役社長
髙井 壽秀 様

東京大学法学部卒。1977年 日本不動産銀行(元日本債券信用銀行、現あおぞら銀行)入行。証券業務・投資銀行業務を中心とした幅広い業務に従事。3年間のフランス派遣留学(INSEAD(MBA)等)の他ロンドン支店、ニューヨーク支店勤務等計10年間の海外経験を有す。2006年 マニー株式会社 執行役常務 CFO就任。2013年 取締役兼代表執行役社長 CEO、COO就任《現任》。