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社会課題への取り組みとニーズへの対応

▲セブンあんしんお届け便

 過去から振り返ると百貨店からGMS、コンビニへと小売業の主役が変化をしてきて、現在はeコマースが伸びています。御社は、小売業が今後どのように変化していくと考えていて、どう対応されているのでしょうか?

 お客様の購買行動の深い把握と、的確な情報提供を目指して、イトーヨーカドーとセブンイレブンで分かれていた情報を統合していくよう舵を切っています。さらに、私たちはグループ内に銀行とカード会社を持っておりますので、金融の面での連携も考えています。我々がお客様と近いところに販売拠点を持っていることは強みです。お客様に商品を届けるラストワンマイルのところを進めていて、たとえば、買い物にお困りのいわゆる買い物難民と呼ばれる方が大勢いらっしゃるということで、セブンあんしんお届け便というサービスを始めています。買い物難民の方に向けた移動販売のための自動車を提供しており、現在は58店舗で展開しています。
2万店のうち58店舗ですかと言われるのですが、このサービスは期待が高まりますし、社会的意義が高いため、一度始めると止めることができません。そのため、コミットしてくれたオーナー様にしか提供できません。そこまで収益が上がるというサービスではありませんが、すごく意義深いものです。サービスを始めると不思議なことに、母店のセブンイレブンのお店の売り上げが上がりました。販売に来てくれたということで、ロイヤリティが上がったとかいうことなのかと考えています。はっきりとした因果関係は見えないですが、そういう事実があります。

 これこそまさにCreating Shared Value(CSV)ですね。本業で社会に価値を生み出していっていらっしゃいます。

 そうですね。そして、小売業の未来というものは、より時間が無くなる方向に進むと考えています。買い物をする時間が無くなり、ITの広がりと共にeコマースが広がっていく。この進展で補われるニーズもある反面、一方ではスマホやパソコンを使えないような方がいらっしゃいます。そういう方は人間的な関わり合いみたいなものを求められています。
セブンあんしんお届け便の利用者の方々を見ると、来て、自分で選んで、お店の人や周りに来た人とおしゃべりすることを楽しまれています。こういった関わり合いがコンビニでも起こりますし、イトーヨーカドーとか百貨店なんかでも起きてくるでしょう。便利になっていくことで店に来なくて済む反面、逆に店に来て、関わりを持ちたいとか、新しい発見をしにくる場所へと変わっていくのかなと思います。

 店舗がコミュニティの場へと変わってくるということですね。

 そうなっていくだろうと私は思っています。過去を振り返ってみると、業態や会社は社会的ニーズや課題があり、それを解決するために出てきています。ではなぜ現在、百貨店やGMSが厳しいと言われるか考えてみると、できた当初のニーズを解決することに自分たちの存在意義を置いたままだからでしょう。たとえばGMSというのは大量生産・大量消費というニーズに合った形で出てきました。各地方や同じ地方でも各店舗ではニーズが違うはずなのに一律で考えてしまっています。これを各店舗で突き詰めて考えていくようにすれば、常に新しいニーズに合わせたものを考え出せるのではないかと思います。

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