【新春特別】澤上 篤人の先憂後楽

~長期投資の先にあるもの~

お金をまわす文化で、 日本を再生させよう

いまの日本で一番の問題、それは国民がお金をつかおうとしないことだ。お金を預貯金に抱え込むばかり。それが、バブルがはじけて28年間、日本経済低迷の主因である。
明治以来ずっと日本人に浸透してきた価値観は、まじめに働き、生活に必要なモノは買うが、ムダはせず節約に努め、あまったお金は貯蓄にまわす、この4点である。このすばらしい価値観は、世界に誇る日本人気質である。しかし、この気質が仇となって、日本経済はずっと低迷してきた。生活に必要なモノはもうほとんど手に入れ、せいぜい買い換え需要しかなくなった。それで、人々はお金をつかわなくなった。これは、経済が成熟段階に入った国で必ず起こる現象である。
経済活動はすべて、お金をつかうことからはじまる。日本経済がかつて高度成長したのも、国民がより豊かな生活にあこがれて、家電製品や自動車などを次から次へと買いそろえていった。つまり、お金をつかったからだ。
では、これからの日本はどうすればいい?人々がお金をつかうことの意義を認識し、経済の現場にお金をまわしてやることだ。成熟経済らしく、国民の間でモノ以外にお金をつかう文化を醸成することが喫緊の課題である。
その第一ステップとしては、長期投資で企業を応援する生活者株主になろう。株価暴落時など株価が大きく売られている時に応援買いを入れる。それでもって、株式を売った人を経由して資金を経済の現場に投入できる。つまり、お金をまわすことになり、経済活動を活発化させられる。経済情勢や投資環境が良くなってくれば、株価は上昇し投資家の買いはどんどん集ってくる。そのあたりから応援を彼らにまかせようと、保有株を売り上がっていくことで投資リターンを確保する。投資なんて、安く買っておいて高く売るだけのこと。このリズムを大事にして再投資を続ければ、生活者株主の資産は雪ダルマのように膨れ上がっていく。
第二ステップでは、膨れ上がっていく資産の一部を、もう一度つかうのだ。寄付でもなんでもいい。とにかくお金を世の中にまわしてやろう。それを受け取った人たちには収入となり、新たな経済活動を生みだすことになる。これが成熟経済の活性化である。
そう、モノの購入以外の方向でお金をまわしてあげることだ。文化・教育・芸術・スポーツ・技術・寄付・NPO・ボランティアなどの方向で、お金をつかえばいい。そこに新しい産業が生まれ、日本経済はいくらでも元気になれる。
ありがたいことに、ファンド仲間の皆さんの間では、お金の不安から解放されたファイナンシャル・インディペンデンスに到達する人が続出している。そんな仲間には、いよいよカッコ好くお金をつかうステージに進んでもらいたい。そういった考えで、カッコ好くお金をつかうモデルをお見せしようと、心の贅沢では「オペラ財団」を、気持ちの満足では寄付の「お金をまわそう基金」を世に出してきた。

2018.12.20記【取締役会長 澤上 篤人】