日経平均株価は10万円を目指すか

2019年の日本株式市場の見通しは? 私の見聞きした感覚では、下と考える業界関係者が6割である。米国の金利や減税効果、貿易戦争、日本の消費税増税の影響など同じ事案でも見方が180度違うコメントもあり、また「○○○がポイント」だとして予想を避ける返答も見受けられた。唯一、今年はボラティリティが増すというのが一致した見解か。私自身は短期的には調整含み、長期では“その気になれば日経平均株価は10万円を超える”と考えている。しかし“その気にならない”ため、今後も周期的で煮え切らない動きを見せるのだろう。

日経平均株価は指標が生まれてから40年間で220倍に成長した。しかし以後は前述の通り周期的な動きとなっている。煮え切らない動きの始点は1989年末の平成バブルである。日本経済が成熟入りしてからの30年、日本の株式市場は成長を止めてしまった。比較対象としてダウ工業株30種平均がある。言わずと知れた、米国のみならず世界で注目される株価指標である。ダウは1800年代末の開始直後から現在までで1000倍、現在同様の30銘柄となってからは100倍になっており、そして煮え切らないと連呼された日本と同じ30年でも10倍近くの上昇を見せている。ある程度の期間を設ければ、どの始点からでも右肩上がりを形成するダウ。グズついた日経平均と比べ、なぜこれほどの差が生まれるのか?

構成銘柄に着目すると謎が解ける。日経平均の225銘柄に比べダウは30銘柄と少ないだけでなく、その入れ替えが肝なのだ。日経平均の銘柄入れ替えにダイナミズムはない。2000年に大きく入れ替えた歴史があるが、原則的には日本の名だたる大企業がまんべんなく入っているのだ。構成銘柄に欠員が出たら新しく採用するというスタイルのため、入れ替えに保守的で、現日本経済の牽引企業の足を古参の大企業が引っ張っている感が否めない。日経平均がダウ同様の銘柄数・入れ替えをしていたら、現在の値で止まっていることはないだろう。他方でダウは入れ替えが激しい。30銘柄中の大半がこの30年内に入れ替わり、最近だとダウ初期のリストに名を連ねたGEが外れることとなった。「米国経済の構造変化で製造業よりも消費や金融、ヘルスケア、ハイテク企業の重要性が増している」との説明はまるでアクティブファンドのようだ。今後、GEに限らず米国経済に重要な企業と判断されれば、他を押しのけて再びリストに挙がってくることも考えられる。このアクティブファンドマネージャーは非情な選別・判断でパフォーマンスを出し続けるのだ。

日経平均は未来永劫10万円に届かないだろう。革新的な企業が育ちにくい土壌もあるが、それを評価する投資家側の態勢も欠落している。革新的企業への投資はギャンブル的と見なされ、名の通った大企業への安心感を妄信しているのだから。であれば、日本株式にてダウ同様の右肩上がりの成績を出せるのはアクティブファンドのみとなる。構成銘柄の激しい入れ替えは長期投資からほど遠いが、ある程度の銘柄数に絞り、それらの組入比率を機動的に変えて長期安定上昇を実現するのは個別の投資を管理するアクティブ運用の仕事なのだ。

新年は景気良い幕開けから。日経平均は10万円を目指せないが、さわかみファンドはいずれ10万円となってもおかしくない。

2019.1.22記【代表取締役社長 澤上 龍】