「企業価値を高める経営」

企業価値を高める経営 東京証券取引所 編 日本経済新聞出版社

東京証券取引所が6年前から主催している企業価値向上表彰制度が、大きな果実を結びつつある。日本企業全般に企業価値向上の意識が驚くほど浸透してきている。
東証では全上場企業を対象に企業価値を高める経営を促しつつ、優秀な企業を毎年50社を選び出し、うち最優秀企業を表彰している。当初からずっと選定委員を務めてきて、各企業の意識の高まりは目覚しいものを感じる。そんな中、3人の選定委員の間でも、自分は企業価値向上の視点がすこし違う。こちらは長期投資家の視点だ。それを本書で確認してもらえると、おもしろい。
企業価値向上といっても、ただ数字が高まり、経営指標が改善されるだけではつまらない。大事なのは、数字や経営指標の中身である。数値などの定量分析にとどまることなく、定性分析にどんどん入っていくことだ。そうしないと、企業を熱く応援する、暴落相場で断固たる応援買いを入れるなんて、できるものではない。
もうひとつは、優秀企業などすでに経営指標が立派にでき上がったものは、もう株価に織り込まれている。投資の観点からは、これから業績数字や財務がみるみる改善していくであろう企業を発掘する。これを、ダイナミックアナリシスという。そして、早い段階から買い仕込んでおくことが重要である。
さわかみファンドの運用責任者である草刈に、「長期投資のための企業価値とは」といった本を出してもらいたいと思う。