投資信託 TOP > 長期投資 > 長期投資のコラム一覧 > 日本車に成長余地は 残されているのか?

コラム羅針盤

2017.05

日本車に成長余地は 残されているのか?

201705_column.jpg
 この問題提起に対する最も短い答えは「Yes」です。具体的には「新興国と高級車が成長余地」と考えています。
 1960年代以降、日本の自動車メーカーは、国内のモータリゼーション進展を支える一方で、海外市場を本格的に開拓していきました。その結果、今では世界で販売される9,000万台余りの自動車のうちで約30%を日本車が占め、欧州車の約25%、米国車の約20%を上回っています。
 
 日本メーカーがホームグラウンドの日本で確固たる地位を築いているのは当然ですが、海外でも北米・欧州・アジア・オセアニア・中近東では存在を確立しています。しかし、先進国は、人口増加が続く北米を除くと、市場自体の成長余地が限られます。ですので、世界的にここまで大きな存在となった日本車に成長余地は残されているのかがとても気になるわけです。
 
 
新興国:市場拡大の恩恵を享受
 
 世界販売に新興国が占める割合は2000年当時には約25%に過ぎませんでしたが、現在では約55%まで高まり、今後5年で60%に達すると見込まれます。その間、自動車市場全体の規模も拡大しますが、それを牽引するのは中国、インド、アセアンなどです。
 それらの地域では世界の自動車メーカーが凌ぎを削っていますが、日本車はすでに開発・調達・生産・販売・アフターサービスといった基盤固めをひと通り終えていて、中国では約15%、インドでは約45%、アセアンでは約90%の市場シェアを獲得してブランドを確立しています。
 
 世界の自動車市場は向こう5年で現在よりも1割強ほど伸長して年間1億台規模に達すると見られていますが、今日の9,000万台からの増加分のほとんどが新興国です。自動車販売の基本は既存顧客の再購入と新規顧客の獲得ですが、すでに基盤固めを終えて、ブランドも確立している日本車はその点で優位な立場にあり、新興国市場の拡大の恩恵に浴すことができると考えています。
 
 
高級車:挑戦者として基盤構築
 
 高級車市場において日本メーカーは、トヨタが「Lexus」、ホンダが「Acura」、日産が「Infiniti」の各ブランドを展開していますが、まだ発展途上と言わざるを得ません。
 欧州、日本、米国のメーカーが手掛けるいわゆる高級車の市場規模は現在およそ年間1,000万台弱で、世界市場の1割強となります。日本メーカーによる3ブランド合計の世界販売は約110万台で、高級車市場の1割強に過ぎません。他方、高級ブランド御三家と言われる「Mercedes」、「BMW」、「Audi」は合計で約600万台と優位を占めています。
 「Lexus」が北米、東南アジア、日本では高級車として一定のプレゼンスを確立することに成功したのを除くと、高級車市場における日本車の存在感は希薄というのが実情です。
 
 「Toyota」、「Honda」、「Nissan」といったマスブランドでは大成功を収めた日本メーカーが、高級ブランドで苦戦しているのは何故でしょうか?実はそれには2つの明確な理由があります。
 一つは歴史の浅さであり、こればかりは時間がモノを言う世界ですから、今後の努力と成果によって自ら歴史を築いていくより他はありません。ドイツ高級車御三家の歴史が100年を超えるのに対して、日本の高級車ブランドの歴史は「Acura」(86年米国で発売)、「Lexus」(同89年)、「Infiniti」(同89年)いずれも30年前後に過ぎません。
 
 もう一つの理由は、ブランドに対するコミットメント不足です。つまり高級ブランド確立に向けてヒト・モノ・カネといった経営資源の投入が不十分だったということです。実際、日本の高級車ビジネスは、ブランド立上げ時のフラッグシップモデルには大いに注力したものの、その後の商品に関しては、経営資源制約のためにマスブランド向け商品の改良やバッジの付け替えとして開発されたものが多く見られました。高級車のお客様は目の肥えた方々ですから、本来であれば高級車として専用開発されるべきなのですが、経営資源が追いつかなかったというのが実情でした。しかし、近年は「Lexus」が先鞭をつける形で、高級ブランドビジネスに経営資源を従来以上に注ぐようになってきていて、商品面でも品質・性能・デザインの面で高級車にふさわしいモデルが専用開発されるように方向転換しています。
 
 現在は約1,000万台とされる高級車市場の規模は向こう5年で1,200万台弱にまで拡大すると見込まれており、伸長速度の点ではむしろ全体市場よりもやや早いピッチです。日本車の高級ブランドビジネスにとっては格好の成長機会と捉えています。
 
【運用調査部 吉田 達生】
 




バックナンバー



口座開設をお考えのお客さまはこちら

口座開設・資料請求

法人のお客さまはお電話でお問い合せください

お問い合わせ相談窓口03-6706-4789営業時間 平日 8:45~17:30  定休日 土・日・祝日

詳しくはこちら(ご縁の窓口)

長期投資だよりwebマガジン|さわかみファンド・資産運用・投資信託・長期投資のさわかみ投信株式会社