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澤上龍の先憂後楽

2016.11

投資家がロボットに負ける日

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 チェスで人間が勝てなくなって以来、人工知能(AI)は産業界のみならず住宅や家電、店舗の受付など一般個人が触れる場所に多く展開されるに至った。親のスマホに向かって「○○を教えてよ」と問う幼児を見るに、SF映画で描かれた世界も遠くないのではという錯覚に陥る。少なからず、車の自動運転や家庭用ロボットはいずれ当たり前になっているだろう。
 
 AIは人間の行動データなどを蓄積、解析して先読みをする。使うほど賢くなるのはAI自らの判断結果を材料に「反省」できるからだ。したがって大衆の行動パターンであるビッグデータはAIを用いれば財産となり、スマホのように個人が所有するAIにおいても、使用者の人間性を日々学ぶことで秘書以上の存在となる。さて、そのようなAIがロボットアドバイザーやカブロボなどの名称で投資運用業に参入してきている。高い演算能力と世界中の情報に瞬時にアクセス・処理できる点で人間はロボットに到底及ばないが、果たしてチェス同様、投資運用でも人間はロボットに軍配を上げられてしまうのか?
 
 現在の高齢投資家に代わり台頭してくる若手投資家たちは、証券対面営業よりもスマホによる売買を好むのは間違いない。既に証券業界自体もネット中心で動いており、いつの間にかセールストレーダーは絶滅危惧種になっていた。時代は変わったのである。
 かねてより私はFPが資産運用大衆化の起爆剤になると想像してきたが、米国のFA同様とならず、一足飛びでアドバイザリー業はロボットに侵略されると今は考えている。資産管理、税務から育児・教育費に至るまで、さらにはクレジット利用など支出データを同期させれば、ロボットは“何でも相談可能な自動更新型の執事”となろう。繊細な情報提供が必要な人生相談、適切な回答を即時くれるロボットこそ人間以上に信用できるというもの。
 そしてそのロボットは、今や個人の志向やリスク許容度に応じた投資判断をも行う。一時間後の相場の騰落を予測し売買タイミングを自動調整するのだ。情や欲に踊らされず損切りも厭わないロボットはFPとして、優秀なFMとして資産運用業界で活躍することは明白である。潜在投資家を多く囲う業者が近未来にカブロボ業界を牛耳るだろうが、その頃、モーニングスターはロボット比較レーティングを行っているのかもしれない。
 
 人生相談や株式自動売買で人間がロボットに負ける日は明日明後日に迫っている。しかしロボットは投資家にはなれない。何故なら、未だ来ぬ世に新しい価値を生み出す努力をするのが企業であり、不確実なものに情熱と忍耐をもって取り組むのが経営であり、そして資金や方針面で時代の変わり者たちを支え続けるのが投資家だからである。結果、思惑通り事が運べば生みだされた価値がシェアされる、これが投資リターンだ。
 さらに言えば、相場と真っ向から対面し、皆が逃げ惑う時にリスクを取って市場に資金を投入するのも運用だ。結果的に市場縮小を抑え、現金を要する人たちの立ち直りを促し経済を下支えする。そして景気回復による株価上昇を待って安値で仕入れた株式を売却すれば収益を得られる。つまり運用は経済を支えることでもリターンを手にするのだ。相場変動を合理的・瞬間的に捌くことは単なる資金運用に過ぎない。投資運用とは世の中における役割を果たすことであり、上記のような運用者こそ時代に名を残し、時に経営者と同じ情熱をもって未来を創るのが投資家なのだ。ロボットにそのような人間臭い芸当はできまい。
 人間が生みだすもの、人間が利用するものは人間が支えるものである。企業経営そのものをロボットが代行しない限り、投資家がロボットに負ける日は永遠に来ないはずだ。
 
代表取締役社長 澤上 龍
 
 




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