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澤上龍の先憂後楽

2017.02

株式所有の変遷① ~最後にババを引くのは誰か?

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 地方勉強会の際、場所を貸してくださった方にこう言われた。「何の勉強会ですか? ああ投資、最近この辺りでも多いですよ」。弊社の実施した会はファンド仲間限定だったが、他社の新規顧客開拓のものと同じに思われたらしい。確定拠出年金制度の対象範囲拡大など、まさに今“貯蓄から投資へ”は官民躍起になっているところだ。その方が続けた言葉が何とも言えない。「こんな田舎の人たちは預貯金しかやらないのに…」。
 
 日本は貯蓄信仰の国だと言われるが、かつては家計金融資産に占める株式投資の割合が半分を超える時代があった。信じる者などいなかった銀行預金が国民に浸透したのは、戦時中に軍備増強などの理由で国家より預貯金が奨励され、メディアで煽ってからだ。後に戦争が終結し、GHQによる財閥解体で主要企業の株式を売り出したのが個人による企業所有のピークとなる。なんと個人の持ち株比率は7割に迫ったのだ。
 
 その後の歴史は周知の通りだ。企業の所有は企業、つまり株の持ち合い時代が始まった。金融機関を中心として企業同士が株を持ち合い、いわゆる系列を作っていった。高度経済成長期だからこそ系列スタイルが功を奏したのだろう。しかしミレニアムに近づく頃になると、バブルが崩壊し体力を失った金融機関や企業が持ち株を手放さざるを得ず、株式市場は厳しい時代を迎えた。その間じっくりと台頭していったのが外国人投資家である。見方を変えれば、外国人が日本の市場を支え続けたと言えよう。株式市場の売買の7割、所有の3割にまで外国人が占めるに至ったが、日本人が日本企業を支えきれなかったという事実を無視して外国人投資家を非難することはできまい。
 
 さて、2012年暮れよりアベノミクス経済によって株式市場は活況を取り戻しているように見える。しかし裏で国という新たな所有者が生まれているだけであり、健全な市場とは言い難い。GPIFや日銀による買い支えは永遠に続くわけもなく、さらには国が日本企業の筆頭株主というのも時代に逆行している。一方で国は企業統治のあり方や企業と対話をする機関投資家を求めるなど言行一致しない。加えて税控除など矢継ぎ早の投資環境整備は、国民に自助努力で老後に備えよとサジを投げた証であり、国は持ち高を上げている株式をいずれ売却しなければならないと認識しているはずだ。もちろん売却相手は眠れる資金を大量に持つ個人投資家しかいない。国は焦り、金融機関もまた株の時代だと個人を煽る。この流れに思慮なしに乗ってしまったら、最後にババを引くのは個人投資家となるだろう。
 
 ババをエースに変える方法があるが、それは次号にて株式所有の意義に触れながら考えてみたい。
 
代表取締役社長 澤上 龍
 
 




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