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澤上龍の先憂後楽

2017.04

投資家が果たすべき責任

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 ESG投資が注目されている。世界最大の年金基金GPIFの運用方針にもこの要素が取り入れられるようで、政治でも経済でも利己主義が跋扈する昨今、本来その主義が強くはびこる金融からグローバル社会の問題解決を目指せるなら面白い。
 
ESGとは「環境」「社会」「統治」の英単語の頭文字である。それらに優れた“良い企業”に投資をすることで企業価値の成長に伴うリターンを期待できる一方、企業は投資家行動に刺激されESGを意識した経営を行う(“良い企業”が増える)という相互関係が特徴だ。投資収益と社会問題解決の両立を図れる点は、さわかみ投信の長期投資に近い。
 
 ESG投資が国連によって提唱された2006年当時、筆者は運用者として公的機関から本件についてヒヤリングを受けた。温暖化ガス排出量低減などの環境配慮、女性の地位改善など雇用機会の是正、外部有識者視点をとり入れた企業統治の適正化など、企業が持続的に存在・成長する上で当然の要素であり、長期投資は必然的にESG投資を内包するため目新しくないと答えた。若かった筆者は仕組みが世の中を変えるという視点を持ち合わせておらず、自己ファンドとの対比で精一杯だったのだ。しかし今ならESG投資の普及による社会寄与は有効と声を大にして言える。
 
 伝統的な株式投資は企業を財務情報で分析するが、ESG投資は「E」「S」「G」という非財務情報を考慮する。「E」「S」「G」の優劣は財務分析では説明できないので、両者が別物だと捉えることに理はあるが、超長期ではESGの要素は全て財務情報に帰着する。そもそも企業が持続的に成長するためには、本業が社会に求められ続けなければならないので、必然的にESGは本業に直結している。逆に本業に直結しないESG、CSR活動で自社評価を持ち上げる策は長続きしない。なぜならそれは緊急時に最初にカットされるコストだからだ。
 
 最近は手数料の低いインデックス運用が人気だが、絶対リターンを求めない相場連動型の運用は国富に資するとは言い難い。蛇足だが、インデックス運用を下落相場から始めると目も当てられない状況となる。したがって長期の積み立てが肝心と“買い方”を強調する始末で、既に本来の運用を全うできていないのだ。
 
 インベストメントチェーン※は投資行動全体で社会に責任を果たすことである。その連鎖の起点となる投資家が長期投資なりESG投資なりを選ぶようになれば、企業は持続的な社会の創造と長期リターンを求められる。経営者面談を経て株主提案を行うインデックスファンドが出始めようとも、大半はコストに見合わず投資意義を果たすには至らないだろう。投資家は、単に手数料の低さを重視するのであれば社会的意義のあるESG投資を検討してみてはどうか?
 
 “良い企業”への投資を通じてリターンと社会問題解決を図ることがESG投資の意義だとするならば、我々の長期投資は企業に対して実質的影響力を持つという点でESG投資に次元を一つ足した感覚である。企業や社会に対し主体的に行動する長期投資家は、結果を期待するESG投資よりも、過程も応援するという点で責任が重い。
 
 
代表取締役社長 澤上 龍
 
 
※インベストメントチェーン:投資対象企業の長期的な価値の向上によって拡大した利益が、配当や賃金の上昇というかたちとなって最終的に家計にまで還元されること




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