投資家も企業も社会も、すべてよしの世の中を目指して

 

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さわかみファンドが誕生して今年で18年になります。ファンドが生まれた時には、自分たちで作った投資信託を自分たち自身の手でお届けする「直販投信」というスタイルの会社は日本でさわかみ投信だけでした。既存の金融機関による手数料稼ぎの販売ではなく、自分たちがポリシーを持ち手塩にかけて作っているファンドが、長期投資という考え方に共感してくださる方の資産形成にお役に立てればという想いでこれまで続けてきました。最近は「長期投資」という言葉も少しずつ定着してきた中で、さわかみファンドは他のファンドとは何がどう違うのか?今回はさわかみファンドの企業選定という観点から、最高投資責任者の草刈にインタビューし、その点を紐解きたいと思います。
 
 

 
明確な企業選定基準
 
江藤(以下江) 投資信託は読んで字のごとく、投資家が大事なお金を「信じて託す」ことから始まります。そのため、長期投資を実践していく上では、投資家と運用会社との信頼関係が何よりも大事だと思っています。お金を託しているファンドが、これからどういう方向に向かっているのか、何を目指しているのか、についても話していきたいと思いますが、まずは、さわかみファンドの企業選定について教えてください。 
 
草刈(以下草) 企業選定で明確にしているのは2点です。1つは、今後も生活に必要な商品・サービスを提供している企業、もしくは今後必要とされるものを提供する可能性のある企業であるか? 2つ目は、それらの企業の中で持続的に成長して、企業価値の高まりが期待できる企業であるか?です。
 
 他社では、企業選定の前に割安と言われる数値(PBRが1倍以下、ROE10%以上等)で企業を選別して、その中でのみ企業調査を行う会社があります。また経営者と面談できない企業には投資をしないといった基準を持つ会社もあるようです。そういった基準はありませんか? 
 
 ありません。そういう画一的な基準は敢えて持たないようにしています。理由は、基準を設けてしまうことで視野を狭めてしまうことや、ひとりよがりな選択に陥らないようにするためです。例えば10年後の企業価値を算出するには、社会がこれからどのように変化するかを読み込んでいく必要があります。アナリストがあらゆる可能性を自由に検討できるように、始めから検討の幅を狭めるようなことはしていません。また、割安と言われる数値等で基準を設けると、これまで利益が一度も出ていない企業が選定から外れてしまいます。数値は参考までに見ますが、あくまでも参考としてだけです。
 
 確かに数値的なところは大事ですが、そこで機械的にふるいにかけることで、企業の見えない価値を見落としてしまうというのはありますね。では、一定の基準を設けない中で、「今後の生活に必要な商品・サービスを提供する企業」というポリシーを持っている理由を教えてください。
 
 それには2つあります。1つめは、企業価値を算出するうえで、なぜ、その企業の製品やサービスが選ばれるのかを理解することが重要だからです。何をやっているか分からない企業に儲けだけを狙って投資をすることほど危険な行為はありません。消費者の目線を活かして「生活に必要かどうか」を判断した方が、地に足がついた調査ができると考えています。もう1つは、さわかみ投信で私たちが成し遂げたいことと密接に関係しています。