花神

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花神
司馬 遼太郎著
新潮文庫

 歴史のおもしろいところは、「その時のために、この人を準備していたのか」とうめきたくなるような事象が、しばしばみられることだろう。
 幕末の長州藩士、村田蔵六(後の大村益次郎)もその一人である。一介の村医者にすぎなかった人間が、第2次長州征伐や戊辰戦争で連戦連勝の軍功を重ね、東北制圧では新政府軍の総司令官となったのだから、なんとも痛快である。
 それよりも凄いのは、村田蔵六が洋学に励み、西洋の広い知識を身につけていって、軍神といわれるまでの実績をあげたことだ。経験がなくても、本を読んだだけの知識を想像力でもって実践に生かすことができる天才であったといわれている。
 われわれの長期投資も、しっかりとリサーチを重ねた上で、将来の可能性を想像力たくましく読み込んでいく作業が不可欠である。それを「推」と「論」と表現しているが、とりわけ柔軟でしなやかな「推」つまり想像力(イマジネーション)をきわめて重視する。

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 将来いろいろ起り得ることを論理的に詰めていく。その過程で次々と浮かび上がる不確定要因や、どうにも論理が行き詰まってしまう点(ボトルネック)にこそ、長期投資のチャンスが潜んでいる。そこが「推」の出番である。
あれやこれやイマジネーション力を駆使して、長期投資のシナリオを組み立てていく。その作業は天才でなくても誰だってできる、実に楽しいものがある。