Sawakami Asset Management Inc.

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今回は、さわかみグループのマイル・システム構想について述べていこうと思います。前回も少し触れた通り、マイル制度には私(澤上龍)が強く関与しており、遡るとマイルの起点は2002年のさわかみ投信“金曜勉強会”でした。そこで地域通貨による地方活性化についてプレゼンテーションをし、それ以降も私たちで何かできないものかと模索し生まれたのが、さわかみマイルです。

 

幼少期の思い出

私の住む町は日本における地域通貨の先駆けのようなところで、私は幼少期から“円”以外の通貨に慣れ親しんで育ちました。その通貨は加盟店で何かを購入すると貰え、他の加盟店でも使用できる、言わば共通ポイントです。そして最終的にその通貨を銀行に持っていけば日本円に換えてくれます。小学生だった私と弟は紙でできたその通貨をせっせとため込み(親から貰い)、台紙に貼り付けて当時の三和銀行に出向き、帰りに加盟店以外のお店のお菓子を買うといったことをしていました。

社会人となり

「お金は回すことが大切」と知った時、幼少時代の地域通貨を思い出しました。「身近な人や地域単位で、優しさから生まれるお手伝いがグルグル回ったらおもしろいな。それぞれが得意とすることで周りをサポートし合う地域。しかしその度に対価としてお金を渡すのは嫌らしいので、代わりとなる何かを創造できないだろうか?」といった想いで考えたのがマイル制度です。日本円よりも気軽に受け渡しができる仮想通貨、とは言いませんが、価値尺度や取引が先行する本物の通貨と比べてギスギスしない何かを生み出したかったのです。
マイルの発行元はさわかみグループ(当時のさわかみ財団)で、最終的に“さわかみファンド”に換えられたら、地域活性化も財産形成もできるのではないかと。当時は“サミポイント”とか言っていましたが、長期航海になぞらえ“さわかみマイル”という正式名称になりました。

パイロット版始動

マイル制度のパイロット版が、今も応援を続けるプロのサーフィン大会です。大会はトーナメント制で3日間開催されます。勝ち上がれば当然最終日まで残るのですが、負けてしまったら会場に残る意味がない…すぐにでも地元に帰り仕事をするという光景を見、「皆が最終日まで応援したら大会も地域も盛り上がるのに」と感じました。東日本大震災後の海離れが酷い時期だったこともあり、より皆で盛り上げたいという想いでした。
そこで、最終日まで会場に残って大会や地域を応援し、ビーチクリーン活動に参加してくれた選手には、さわかみファンドをプレゼントするという企画を実行しました。ファンドは直接的にプレゼントできませんので、財団がさわかみファンド購入権と金銭拠出を行い、選手が権利行使すれば、さわかみファンドを持てるという仕組みです。その権利自体を形にしたのが、今のマイル制度です。
マイルはグループ活動への参加および商品・サービス購入によって取得できます。しかし今のところ、マイルは保有者とさわかみグループの間の取引に留まっています。これを保有者同士で交換できるようになれば、先述した「優しさから生まれるお手伝いがグルグル回る」になっていくのだろうと考えています。

 

今後の展望

紙面の都合上、このつづき(今後の展望)は裏表紙の“先憂後楽”に記載します。次回は本項の最終回として、さわかみグループ総括をお送りします。

さわかみ投信株式会社 代表取締役社長 澤上 龍

 

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