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iDeCo? 利回り? 今さら聞けない投資のアレコレを、投資初心者の2人が投資のプロ“さわかみ君”にぶつけます。第10回は「ビットコインって大丈夫? 暗号資産は投機か投資か?」

 


【暗号資産って投機? 投資?】

  最近暗号資産のニュースを見る機会が増え、まわりではビットコインを買っている友人も増えてきました。この “ 暗号資産 ”というのは、投資の一種なのでしょうか。それとも投機なのでしょうか?

五来 投資ではなくて投機に近いような感覚はありますね。

さわかみ君 単に暗号資産だからとか、ビットコインだからではなく、何を目的にしているかが大事です。単純に値動きからリターンを得たい場合は、投機ですね。

  長期で持つよりは、短期的な売買で「いくら儲かった」という話をよく耳にします。これは投機ですね?

さわかみ君 長期か短期かに関係なく、暗号資産は人々が“ 思惑 ” で値動きを追いかけるから投機なんです。

五来 そう考えると、株式投資には思惑ではなく、投資先である企業の成長がありますよね。

さわかみ君 ピンポーン! 投資は、企業の成長や企業価値の高まりを応援する行為です。暗号資産と違って、単なる値動きを追いかける行為ではありません。ここで質問です。なぜ値段が動くのでしょうか?

五来 儲かりそうだから??

さわかみ君 そのとおり。だから、買いたい人と売りたい人がいますよね。株式も暗号資産も同じく値段は動くのです。しかし、目的が値動きによるリターンであれば投機で、企業の成長であれば投資と分けることができます。つまり、株式投資もまた、その人の目的によって投機にも投資にもなり得るのです。

  なるほど。 目的によって違うのですね!では、通貨としてビットコインを買うのはどうでしょうか?

さわかみ君 決済通貨として国に認められているかどうかによります。日本で決済通貨として流通されているのは何でしょうか?

五来 もちろん日本円です。

さわかみ君 ドラマ「日本沈没」の話を例として挙げましょう。ドラマの結末は北海道と九州を除き日本がほぼ全て沈没、1億人以上の日本人が海外に移民しました。では、仮に国自体が無くなってしまっていたら、日本円はどうなりますか?

五来 日本円は使えないんでしょうね。

さわかみ君 そうです。紙くずです。ビットコインも同じく、流通しない限り持っていても意味がありません。流通するには “ 信用 ”という背景がないと難しいのです。ビットコインを駄菓子屋さんで使えますか? 友達にお金を借りてビットコインで返すと言ったら、友達はどう反応すると思いますか?

  たしかに、ビットコインで返されても困りますね(笑)。

さわかみ君 小切手は便利ですが、普通の生活をしていたら、小切手をもらっても困りますよね。やはり現金がほしい。それは現金である円が信頼されていて、どこでも使えるからです。ビットコインもまだまだ流通されてないので使える場所が限られますよね。

  確かにいま無理して買う必要はない気がしますね。

 


【どのように資産づくりをするかはあなた次第】

五来 最近 PayPay も決済手段としてよく使うようになりました。アプリでポイントも運用できるんですよ。

さわかみ君 PayPay での運用 ? それは財テクの一つとしてあり得ますね。

▲「投資って、奥が深すぎるな…」と弱気になりつつも勉強を続けようと決心?する、岡・五来

五来 財テク!?

さわかみ君 財産を増やす一つの手段です。財産を増やすにはいろんな手段があって、ギャンブルであろうと、競馬であろうと、ビットコインであろうと、投資であろうと資産づくりはできると思います。資産運用という大きな枠の中に財テクもあり、投資もあります。

  ギャンブルも資産運用になるんですか?

さわかみ君 はい。パチンコのプロが日々財産を築いている場合、それはその人の資産運用のやり方です。我々のような素人からすれば自信もないし、上手くいかないと思いますが。資産づくりができるのは長期投資、という考え方は間違ってはいないのですが、それに限った話ではありません。例えば不動産を親から譲ってもらって、家賃収入が入ってくるのも資産づくり、つまり資産運用の一つです。

  思った以上に深い話でした。

さわかみ君 資産運用という大きな枠の中の一つに株式投資があり、企業の成長や企業価値の高まりを応援し、そのリターンを享受します。長期投資は、一番健全でギャンブルに比べて安全な手法だと思います。

五来 「暗号資産は投資か投機か」の話で始まったんですけど、どんどん深くなってきましたね(笑)

  ちょっと話が変わるのですが、今まではお金の置き場所が銀行だったのが暗号資産やPayPay のように銀行以外に分散されると、銀行から企業に貸し出すお金はどんどん減ってしまいませんか? そうなると、銀行から企業に貸し出すお金も減るので、企業が成長する機会が減ってしまうのでは?

さわかみ君 大丈夫です。銀行同士の再編で銀行の数が減るかもしれませんが、まだまだ相当のお金が銀行に眠っています。その半分が無くなったところで、日本一国分以上の価値がまだ残っています。無駄に預金残高がありすぎて、お金が銀行に眠っていても困ります。そしてこれからさらに、銀行に頼る間接金融ではなく、貸し手と借り手が直接手を結ぶ直接金融が育っていく可能性もあります。

五来 お金は経済活動に使わないと!

さわかみ君 そうですね! 銀行に眠っているお金が日本の株などへの投資に回ったらどうなると思いますか? 日本の株式市場が一瞬で倍になりますよ。

  強烈ですね!

さわかみ君 話をまとめると、投資も投機もご自身の資産づくりの手段であり、その手段はその人の目的によって変わってきます。その中で、株式投資は企業の自助努力を応援できる唯一の手段ですので、それに対してギャンブルをするのは相応しくないのではと思います。一方で、価値の裏付けのないビットコインなどの暗号資産は、人々の思惑で値段が動くので、ギャンブルの要素が強いです。何を選ぶかは全てその人の目的次第です。

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