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株価変動を当てる人気投票ではなく、価値を高める努力をしている企業を選ぶのが長期投資。そうした企業に対し、株価暴落時などのタイミングで投資をするのが理想だ! セミナーでそう伝えると、それなりの頻度で次の質問が返ってくる……長期投資をするに相応しい企業をどのように探せばいいの?

 

就職先を選ぶ時、どんな視点が大事?

在宅ワークが多めで楽だから? 福利厚生が手厚いから? 給与が平均以上だから? 理由は様々あり、何を重視するかは本人の自由。しかし、それらの要件は企業の実態を捉えていない。働く上での本質を指していないのだ。

なぜ在宅ワークが多めなのだろう? 福利厚生に力を入れる根拠は? 高い給与はありがたいが経営の持続性は大丈夫? 丁寧に掘り下げていくと、いつかは企業の実態や理念に近づく。表面だけで就職先を検討するのではなく、核となる部分をしっかり押さえたい。そもそも、どんな仕事にやりがいを感じるのか……そんな自問自答の先に相応しい就職先が見つかる。働きやすさよりも働きがい。主役は職場環境ではなく自分自身であるべきだ。

 

投資先を選ぶ時、どんな視点が大事?

ズバリ、投資先に想いを寄せられるかが肝心。人気や思惑などに起因する不安定な株価変動に目を奪われるのではなく、その企業が生み出そうとする未来に心が躍るかどうか……それこそが自信をもって投資リターンを待ち続けられる“秘訣”となる。

大企業の安定感、新興企業の成長力、地方企業の地力、グローバル企業の多様性。どこに惹かれるかは本人次第。就職と同様に投資もまた、自分自身の生き様や価値観に従って素直に、そして真剣に探せばよいと思う。大切なお金なのだ、大事に働かせてあげたい。

青臭い夢や理想ではなく、大きな投資リターンを狙いたい? では聞こう。就職先企業の賃上げはどこから生まれるのか? 事業の永続性は? 長い目で見れば、企業価値の向上こそが確実性の高い投資リターンであり、労働条件の改善に繋がるのである。青臭い夢や理想と投資リターンは時間経過とともに一致していく。そこに自らの意思や行動を反映させられれば、とても面白い職場となり、また投資の醍醐味を味わえるだろう。

 

お金の転職はどう考える?

人が転職するように、投資先を変えることだってある。ジョブホッピングは、ある年齢に至るまでに労働条件を引き上げていく方法。自らの価値を高めて好条件の職場を探す……投資にはできない芸当だ。しかし労働に求められる“時間配分”が投資にはないため、5社にでも10社にでも大切なお金を就職させられる。最近は副業が一般化してきたが、投資は昔から数多くの本業を自分の手の内に収められるのだ。

それでも投資の転職(投資をやめる)を判断せざるを得ない状況がある。それはおそらく、その企業に心が躍らなくなった時かもしれない。損得は期間設定で変わるため当てにならない。就職と同様、働きがいを見出せなくなった時が、お金の転職タイミングとなるだろう。

【2025.5.14記】代表取締役社長 澤上 龍

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