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現在、世界では悲しい紛争・戦争がいくつも起こっている。中東やロシア・ウクライナのみならず、米国が仕掛けた貿易・関税戦争然りだ。立場や見方で“正義”は変わるために言及は避けるが、その是非に関わらず、辛い状況に置かれている人々がいる。それは常に一般の生活者である。

世界はそのような状況なのに、なぜ株価は上がるのだろう。未来は期待一色ではないはず。むしろ今、懸念の方が多いのではないか。

 

昨今の株価上昇は健全なのだろうか?

投資家は実体経済の成長期待ではなく、価格の上昇期待に群がっている。その動機は利己的な欲であり、金(マネー)余りという背景がそれを助長する。水が高いところから低いところへと流れるのとは真逆に、お金は低いところから高いところへと向かうもの。いや、「これから高まるだろう」ところへ流れると言った方が正しいか。ともあれ、それを誘引しているのが欲だ。

実際、お金が余るなんてことはない。先述の「低いところから高いところへ」流れるにしたがい、一般的にはシーソーのような動きとなるはず。つまり売られる資産は価格を下げ、買われる資産の価格が上がる。お金の総量が一定であるなら「お金がどこに移動したか」で価格調整が行われるわけで、無理に金余りをつくっても超インフレが相殺するだけだ。

しかし資産価格はこの数年、およそ全面高の様相ではないか? それは時間を超えたシーソーだからだ。現在あふれるマネーは未来から借りてきただけで、いずれ返済を要するものである。そして返済に伴って、「あふれる」の逆、「収縮する」が起こるのだ。緩和政策によって経済そのものを強くしてしまう……レバレッジ経営ではないが、それも考えられる。しかし冒頭に触れたように、紛争・戦争ばかりの世界情勢、分断極まる国々、そして事の発端でもある米国自身ですら内部分断が始まっているではないか。

 

いつの時代も人が世を変える

このような状況に陥ってしまったのは、人の欲が原因である。自国主義、自分主義……。思想など様々な背景が隠れているとはいえ、最後のスイッチを押すのは“人”だ。同時に、人だからこそ次の時代を切り開く可能性も持ち合わせている。明るい未来、希望あふれる未来とするため、人は考え、行動することもできる。

金融商品において、唯一“人”であるのが企業。つまり株式だ。投資家もまた、企業を銘柄とは呼ばず、未来を担う“人”だと認識して投資を行えば、未来は変えられるだろう。

どのような投資が新しい世界に求められるだろうか? 株価変動を当てる人気投票ではなく、価値を高める努力をしている企業を選ぶ長期投資だ。そうした企業に対して、株価暴落時などのタイミングで投資をするのが理想。人が寄り添い、未来に期待を抱けるような企業を選び、投資をするのが本物の投資……そう再認識される日は、悲しい現世を見るに、そう遠くないように思う。

 

【2025.6.17記】代表取締役社長 澤上 龍

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