
――次なる成長の柱は「データセンター」かも?!
「タイ」と聞いて多くの日本人が思い浮かべるのは、美しいビーチや歴史ある寺院といった観光のイメージでしょう。実際、観光業はかつてGDPの約18%を占めるほどタイ経済の柱でした。
しかし今、状況は大きく変化しています。世界経済の不透明さや米国の金融政策の影響により、観光客の動向は不安定です。特に中国人観光客は、今年1月を除くすべての月で前年比平均45%も減少し、観光収益への影響は避けられない状況です。こうした現実を前に、「観光依存の経済構造は、もはや持続可能とは言えない」と認識する必要があります。
では、次なる成長の原動力は何か? 私はタイ人として、これからのタイを支えるのは「データセンター産業」だと強く感じています。タイは比較的土地コストが安く、広大な用地が確保しやすい。再生可能エネルギーの潜在力も高く、東南アジアの中心という地理的優位性も備えています。国際通信ネットワークのハブとしての可能性も大きいのです。
さらに、国内でもデータセンターのニーズは高まっています。モバイルバンキングや電子決済、AIチャットといったデジタルサービスが急速に広まり、すでに日常に欠かせない存在となっています。今後、これらのサービスがより高度かつ多様になるにつれ、データセンターの需要も確実に増していくでしょう。
社会全体への恩恵もデータセンターは企業のITインフラにとどまらず、医療・教育・公共サービス分野にも恩恵をもたらします。高性能で安定したクラウド基盤が整えば、より公平で質の高いデジタルサービスの提供が可能になります。まさに、社会の基盤そのものとしての役割が期待されています。
ただ現時点では、タイの投資行動は短期的な視点が強く、株式市場も一時的なニュースに左右されがちです。こうした時代だからこそ、「長期投資家の視点」が重要だと考えます。
長期投資家の視点
世界がますますデジタル化していく時代において「進化の時代」はタイだけではなく、日本も含めてどの国でも進んでいます。日本の場合は、熊本に最先端の半導体工場が建ち、地方では再生可能エネルギーの地産地消モデルが広がっています。医療や介護分野では遠隔診療やロボット技術の導入が進み、高齢化への対応が始まっています。まさに新しい価値創造の「進化の時代」です。
こうした変化に対応するには、短期的な利益を追う投資ではなく、企業や社会の未来に寄り添う長期的な視点が求められます。「持ち続けて育てる」という本質をともなう長期投資の考え方が、今後ますます重要になるでしょう。
◇オート(キーラティワシン スパラーク)◇
私はタイ・バンコク出身で、高校時代に父から長期投資を紹介され、社会人として初めての給料から長期投資を始めました。2022年に来日し、2024年にはさわかみ投信に入社しました。日々の業務を通じて長期投資の本質を学んでいます。今年には帰国し、さわかみ投信のタイ現地法人「さわかみタイランド」での勤務を予定しています。タイ国内で長期投資の本質を広め、多くの人々の資産形成に貢献していきたいと考えています。







