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日米相互関税は当初提示よりも低い『15%』で合意。その結果に多くの市場関係者が安堵、株式市場も上昇した。しかし、元々ゼロ近い税率に新たな15%を課されたのだ。決して喜ばしいことではない。今後は課税分を輸出企業が吸収して収益悪化を招くか、それとも物価高を米国民が負担するか、またはその両方となるだろう。経済は悪化するのみで株価が上がる理由にはならない。

 

不確実な未来には“備え”が肝心

いつ地震が来るのかを正確に当てられる人はいない。故に防災グッズを購入するなどして備える。そのグッズが自宅スペースの一角を潰そうとも。同じように暴落もいつ来るか誰にも分からない。

トランプ関税は世界の混乱・分断と無益な物価高を招く。過剰にあふれたマネーが株式等の資産価格を下支えするも、逆流がいつ起きてもおかしくない。分かっているのは、誰かのちょっとした不安感からマネーの引き揚げが始まると一気に信用収縮に向かうこと。我先にと株式等の資産を売り、価格下落を恐れた別の投資家が売りを重ねていく。そしてもう一つ分かっていることがある。それは、暴落はとてつもない速度で進むということだ。

然らば無駄を承知で備えに着手すべきだ。最高値を目指す株式市場に乗りたい気持ちを堪え、キャッシュなど価格変動のない資産に配分し、いずれ来る下げ相場を吸収するのだ。そのキャッシュは暴落時の安値買いにも出動できる貴重な備えとなる。併せて考えたいのが生活の見直し、支出を伴う契約などの整理だろう。例えば、変動金利型のローンは金利上昇で生活を圧迫する要因となる。それを固定金利に見直すことも大切な策。そして更なる物価高が予想される中、不要不急の支出を減らす……つまり生活の見直しを今から始めて身軽になっておくことが肝要だ。

 

選択が求められる時代

政府が声高に賃上げを訴えるものの物価高の速度には追いつけない。故に普段の消費において選択が迫られるようになる。生活に必要なモノ・サービスは物価高だろうと購入する…生きるために。その分、不要不急なモノ・サービスを節約することに繋がる。収入が一定であれば、支出の中身を変えて対応せざるを得ないのだ。だとすると投資対象企業もしっかり選ぶべきだろう。過剰流動性が全面高を演出する相場は終わり、優勝劣敗がはっきりする健全な市場に戻るのだ。短期的にはパッシブ(インデックス)ファンドには極めて辛い季節がやって来ることとなる。

企業選びはそれほど難しくない。前述のように、生活に必要なモノ・サービスは物価高だろうと消費される。そうした企業を消費者目線で選別することが大切。また金利の先高観がある中で借入過多の企業は怖い。金利上昇はマネーの価値を高めることと同義なため、キャッシュリッチな企業が強くなる。資本効率化の大義名分のもとに自社株買いや配当出しを無理する企業よりも、将来のキャッシュフローを生むべく先行投資を実行している企業が有利。つまり健全な財務・将来戦略を持ち、何より消費者に「生き残ってほしい」と選ばれる企業が今後の投資対象となるはずだ。株価選好ではなく業績選好の、あるべき市場への回帰に備えておこう。

【2025.8.10記】代表取締役社長 澤上 龍

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