Sawakami Asset Management Inc.

CONTENTS
# タグリスト

先般実施されました運用報告会での発表内容についてご紹介いたします。今回の運用報告では、(1)基準価額は昨年度比プラス、(2)現金比率の大幅引き上げ、(3)第27期に向けての大きく3点についてお話ししました。

まず26期の結果についてご報告します。さわかみファンドの基準価額は40,759円で終え、複利年率では5.6%になりました。口数や純資産額、株式評価総額、現金等は下図の通りです。

 

第26期の相場環境は、米国の利下げや国内のインフレによる名目ベースでの経済成長、東証改革の進展などにより、迫る米国大統領選に対する期待や懸念を織り交ぜながら期初から底堅く推移しました。期の中盤には皆さまもご存じの通り、トランプ大統領により公表された想定以上に厳しい関税政策により、株式市場は一時的に大きく値を下げました。その後は関税交渉の進展とともに株式市場は安心感を取り戻し、市場を牽引していた生成AIへの投資は好調を維持、そして国内経済も高止まるインフレ率から名目ベースでは堅調に推移したこと、さらには上場企業の積極的な株主還元もあり、株式市場は期末にかけて上昇しました。
業種別では、上述生成AI投資の恩恵をフルに享受した非鉄金属業や世界各国における防衛費の増額などの影響を受けた企業が値を伸ばしました。また22年以降から引き続き利上げや東証改革、新NISAの開始がプラスに働いた銀行業や保険業、証券・商品先物取引業が好調に推移しました。

 

その間の売買行動としては、買付は割安と想定される企業を中心に実施しました。買付金額は413億円となり第25期と同水準となっております。また期中、最高投資責任者によるアセットアロケーションの変更に伴い、過去数年と比べて現金比率を大胆に引き上げました。具体的には米国の関税問題で株式市場が大きく調整した後の回復途上で、現金比率をそれまでの12%から20%程度へと引き上げています。また当方針に伴い、売付金額は約800億円と前期の約500億円から大幅に増加しました。外国株については第25期に投資先企業を11社に絞っており、当期での変更はございません。その中でもバリュエーションを考慮し、ポジション調整を行っております。

 

第27期は、日本や米国を中心とした景気動向、及びそれを踏まえた各国の金融政策の変更が重要なポイントになると思われます。先月に米国のジャクソンホールで開催された年次シンポジウムでは、米国労働市場における懸念が高まっていることが示唆されました。労働市場は表向き底堅く見えますが、実態は需要と供給の両方が低下していることを問題視しています。米国は堅調な労働市場や米国関税の影響も鑑み、政策金利を半年以上に渡って維持してきましたが、今後は年内数回に及ぶ政策金利の引き下げが市場に織り込まれています。
日本の政策金利は0.5%と、足元のインフレ率に比べて相当に低い水準に抑えられています。日本において目標とするインフレ率2%を3年連続で上回っている状況であり、場合によっては米国関税によって景気に陰りが見えつつある中での利上げとなるかもしれません。また世界的に財政懸念から超長期金利の上昇が続いており、金融政策や財政政策の方向性の違いが実体経済や相場に与える影響を注視する必要があります。
大幅に現金比率を引き上げたことから上昇局面では市場平均に対して劣後しやすい状況が続きますが、中長期的な絶対リターンを積み上げるべく、再び株式比率を高める局面に備えております。

 

【運用調査部 ファンドマネージャー 坂本 琢磨】

 


今後の運用調査について

➊変わらない点

「広く、深く、遠く」「推と論」の運用調査の哲学は今後も不変です。長期投資の三人四脚の価値観で未来を共に切り開いていく美意識、ならびにさわかみ流の長期投資のリズムの堅持も不変です。他方「知財・無形資産の目利き力の強化」によって我々のリサーチは進化しています。過去1年間で国立研究所や国立大学といった公的機関との具体的な連携と若手研究者とのアイデア交換の仕組み作りが進展しました。専門家との知的格闘技によって、体験知性を腹に落し込むことで骨太の洞察力を鍛えています。具体的なリサーチの事例3件を説明しました。可能な範囲でセミナー等でファンド仲間の皆さまに報告しておりますが、「さわかみのセミナーでしか聞けない内容」といった評価をいただけるようになりました。

❷最近の将来予測リサーチの進捗状況

運用報告会では「農業・食料」と「エネルギー」の将来予測について述べました。「広く、深く、遠く」思索を重ね、次世代に繋いでいきたい食とエネルギーの安全保障に寄与するような仮説を提示しました。これらの事例は、今すぐに事業化され企業の収益に結び付くわけではありませんが、うごめき始めた実体経済のうねりとして将来予測に活かすことができます。

土と肥料に関して、日本特有の黒ぼく土の特異性とリンの土壌蓄積の現状を解説しました。粘土研究者が注目している黒ぼく土の中のナノ素材について科学的に説明し、この素材を活用した次世代のためのリン備蓄について説明しました。世界的に枯渇が懸念されているリン鉱石ですから、国内での持続的なリン肥料調達の仕組みが注目されるようになるでしょう。

地熱発電に関して、従来よりも深い地下6,000メートル付近を探査することで超臨界地熱発電というブレークスルーが生まれていることを説明しました。374℃以上でかつ218気圧以上という超臨界水を、確度高く最適なコストで掘削する手法がAIを活用してシミュレーションできるようになりました。国産かつ24時間、365日安定稼働するベースロード電源として地熱の価値が見直されるようになるでしょう。研究者のコメントによれば、超臨界地熱発電は現在の石炭火力発電をすべて置き換えることができるほどのポテンシャルがあるそうです。公的機関にせよ民間企業にせよ、長期目線の研究者が結集し国家プロジェクトが進められています。

発酵に関して、我が国が誇る産業微生物であるこうじ菌が生み出すマイコプロテインというタンパク質の現状を説明し、試食で体感したマイコプロテイン系代替肉の可能性を述べました。2005年に解読済の二ホンコウジカビのゲノム情報を活用した生命情報科学(バイオインフォマティクス)によって品種改良のスピードが飛躍的に向上しています。酒かすや焼酎かすといった未利用資源をエサとしてモリモリ成長するこうじ菌は次世代の代替肉候補としてワクワク感のある存在です。

※出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000154836.htmlより抜粋

 

 

本稿では、26期に得た他の知見についても下記にキーワードで報告いたします。

表:26期に蓄積した長期投資のヒント ※連携先の略字 次(次世代交流)、研(研究機関)、未(未上場企業)、外(海外機関)

【取締役最高投資責任者 黒島 光昭】

関連記事
RELATED

「スペシャルコンテンツ」の他の記事
OTHER