
先月号でもご紹介したとおり「炭」の知恵は日本が世界をリードしていて、最近も興味深い国際標準化のルール作りに成功しました。工業用素材の炭の代表格は炭素繊維で有機繊維を高熱で焼いて炭素含有量を90%以上にしたものです。この細くて強い繊維の束をプラスチック樹脂でコーティングしたものが炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)で日本の研究所が1959年に特許を取得。鉄の4分の1以下という軽さと数倍の引っ張り強さで、1970年代の釣り竿、スポーツ用品から現代の航空機やロケットまで用途が広がり、世界のCFRP用の炭素繊維の約50%を日本企業が供給。しかしこのCFRPのリサイクルが世界的な課題となりそうです。航空機など退役時期が迫っていて大量廃棄が予想され本格的なリサイクル方法が必要です。リサイクル時に炭素繊維の長さや表面状態が変化するため品質管理が難しい。そこで同じ研究所が「改良型フラグメンテーション試験」という検査方法を開発し、国際標準ISO19350:2025に登録され信頼性の高い評価法と認知されました。今後、乗り物全般、社会インフラ、宇宙などの分野でCFRPの用途開発が進むでしょうが、2次流通の品質管理のルールを押えたことは長期的な産業力の維持にとってバラ色なのです。
【取締役最高投資責任者 黒島 光昭】



