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▲株式会社セブン&アイ・ホールディングス
取締役常務執行役員
伊藤 順朗 様

 そのような小さな改善をされてきているということですが、現場からあがってくることが多いのでしょうか。

 スタートは現場です。問題が現場から提起されてきてソリューションを見つけるのは商品部であったり物流部であったり、自分たちだけで解決できなければ各メーカーさんと協力して考えていきます。
セブンイレブンに限らず常に、現場での困りごとは何かということに着目してそれを改善していくことをしています。『変化への対応と基本の徹底』ということをスローガンに掲げており、これは私たちの信念のようなものです。変化への対応と基本の徹底とは一見矛盾する感じがしますが、世の中の変化には常に対応し続け、その一方でお客様からの信頼を得るという基本的な部分は変えてはならないというのが私たちの思いです。

草 常に変化をされているわけですね。変化に対応していく中でまた新たに生まれてくるニーズをいち早く察知して対応を行っている。御社ではサンプル数が多いので、その中で最適な解が生まれやすい。そういう仕組みになっているということですね。

 そうです。あとはスピードです。その変化を高速回転でやっています。私たちの中では日々の変化に対応するべく、小さな積み上げを繰り返し行っているのですが、外から見ると結構短期間で変わりましたね、すごい革新ですねとおっしゃっていただいています。

 御社ほどの規模になると、そのスピード感を維持するのが難しくなってくると思うのですが、いかがでしょう。大変多くの人が働いていて、多くの店舗があるなかで、どのように意識を埋め込んでいらっしゃるのでしょうか。

 月曜日にマネジャー会議というものがあり、そこで問題提起がされると、その週のうちに何とか答えを出せという感じで動いています。また、FC会議というものをセブンイレブンでは2週間に1回行っておりまして、このサイクルで動いています。

 IT企業のようなスピード感でやられていますね。それに加えて直接コミュニケーションをとるということも徹底されているのですね。

 このコミュニケーションというのが一つのキーワードで、ここまでスピードを速めてこられた一つの要因です。40年以上経って2万店を超えてもなおこの成長性を維持できているのは、この仕組みを続けているからですね。

 アメリカでも新しいお店を買収されています。文化が違う人たちに、今の日本のセブンイレブンの考え方の良さを入れながら、彼ららしさを作るということは新しいチャレンジになると思うのですが、これはやっぱり、現地の人と日本の本社で作っていくのでしょうか。

 セブンイレブンはアメリカが発祥の地ですが、日本で進化して成長してきた仕組みがあります。現在はアメリカから日本に学びに来てもらっており、ここ数年間は速度を速めています。
数か月滞在して、一緒に仕事をして会議に出てもらいます。フランチャイズということ、会議のようなダイレクトコミュニケーションがある、高速回転で改善を行っている、商品開発の力がある、様々なことがありますが、どれか一つがキーサクセスファクターということではありませんからトータルで勉強しに来てもらっています。いろいろ経験してもらって、私たちの良さというものをアメリカのセブンイレブンにも注入しようということでやっています。日本人のスタッフもアメリカに行き向こうで一緒に開発するということもやっていますね。
小売というのは基本的にローカルのニーズにどこまで適応できるかということが求められます。ですから、日本で成功したものをそのままアメリカに持ち込んでもうまくいくとは考えていません。基本的な部分を学んでもらい、彼らなりに咀嚼をして、アメリカではこのようにやっていこうと考え、進めてもらえばいいと考えています。

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