再生細胞薬の大きな可能性

世界各地の研究者とお会いになられたと思うのですが、サンフランシスコで起業されたというのは、研究者が多かったり制度がすぐれていたりしたといったような要因があったのでしょうか。

 そうですね。大きく理由が二つありまして、一つはバイオテックの業界が日本より30年ぐらい前からできていたので、会社の数も多く、研究者のレベルも高い、製品開発も30年の歴史があります。当時の日本では人材のほとんどが製薬企業と大学にいました。そこから、バイオベンチャーに人を引っ張ることは大変ですけれども、アメリカでは非常に優秀な人がたくさんバイオテックにいます。もう一つは制度面です。開発して臨床試験に入るところで規制当局、日本であれば厚生労働省、アメリカだとFDA(アメリカ食品医薬品局)ですが、FDAは先進的なものをどんどん認めていました。たとえば、脳神経の再生医療というところでは、アメリカではすでに3社が臨床試験を始めていましたが、日本もヨーロッパもまだ始まっていない状態でした。アメリカはすごく進んでおり、早く臨床試験に入れて早く結果が出せる環境がありました。

30年も先に進んでいるバイオテックの業界に、突然来た日本人が入っていくというのは大変なことだったのではないでしょうか。30年もの歴史がある業界に突然やってきて、わずかな期間でSB623のところまでたどり着くというのはイメージを超えています(図2参照)。