Sawakami Asset Management Inc.

CONTENTS
# タグリスト

iDeCo? 利回り? 今さら聞けない投資のアレコレを、投資初心者の2人が
投資のプロ“さわかみ君”にぶつけます。第4回は「金融の危機って本当?私たちはどう行動すべき?」

 

このまま投資を続けても大丈夫?

五来 今投資をしているのですが、最近広告等で“危機”とか、“バブル”というワードをたくさん見るようになり、このまま投資を続けても良いのかと不安になってしまって。この状況をどう捉えておくべきでしょうか。

さわかみ君 まず前提として、今の金融・経済の状況を説明しますね。12年前にリーマンショックという金融危機がありました。この時は金融市場が盛り上がり、その後一気に崩壊して実体経済も巻き添えを食らうという結果となりました。当時のことって覚えていますか?

五来 就職氷河期でなかなか就職できないというニュースが多かった記憶があります。

さわかみ君 その後低迷した経済を回復させようと、世界各国がお金を世の中に供給し始めました。経済はお金がどれだけ動いたかで決まるので、世の中のお金の量を増やすことで、活発化させようとしたのです。
結果、株式や不動産の価格は再び上がり始めました。しかし実体経済はなかなか良くなっていかない。良くならないからさらにお金をバラまく。このようにお金を大量に供給することで作り上げた砂上の楼閣が今の経済なのです。

五来 なるほど。人々の消費でお金が流通しているわけではない、ということですか?

さわかみ君 ピンポーン! 本来であれば人々の消費や企業の生産が活発になると共にお金の流通は良くなっていくのですが…今やっていることは、人間に例えるなら元気がないので栄養剤を打ちまくって無理に身体を動かそうとしているようなものです。「それでも身体を動かしているうちにそれがリハビリとなって健康になるのでは?」というのがこの10年の世界の政府や中央銀行の目論見です。
ただ現状は目論見どおりにいかず、供給したお金が消費や生産に回っていかない。実体経済より貯蓄や投資(=金融経済)の方にお金が回ってしまいました。そのため、実体経済が強くないのに金融市場が盛り上がりをみせることになりました。

 栄養剤を打ちまくってって…ものすごく無理してますね。

さわかみ君 その状況下で新型コロナウイルスが発生し、さらにお金をバラまいたんですね。そのお金は人々の消費や生活には回りましたが、それ以上に貯金や投資に回る結果となりました。実体経済がなかなか良くならないから借金をしてお金をバラまく。この繰り返しです。
冷静に考えると「この状況はいつまでも続けられるものじゃないよね?」という不安や疑いが皆さんの中にあるはずです。一方、政府や中央銀行としてはお金をバラまき続けないと経済が止まってしまうので「続けるはずだ」とも思っているはずです。
金融関係者の間で「音楽が鳴っている間は踊り続けなければならない」という言葉がありますが、今がその状況です。相場が上がり続ける以上は投資すれば利益が出るので、プロの機関投資家も含めて逃げるに逃げられないのです。

五来 では、この状況下でどう行動するべきですか?

さわかみ君 結論から伝えると、投資を続けるべきだし、始めるべきだと思います。ただ注意することは、今金融市場が盛り上がっているからと、それに浮かれてどんどん投資しないことです。

五来 「浮かれる」とは?

さわかみ君 「儲けたいという欲を出す」という意味です。一方で、投資を止めろというわけでもない。ポイントは「投資を継続する」ということです。
今の金融経済はどこかで崩壊する可能性があるので、投資をされている方はそれに巻き込まれる可能性があります。ただその際に覚えておいていただきたいのは「人々の生活はどんなことがあってもなくならない」ということです。岡さんは不景気になってもお酒をやめないでしょうし、日々の生活を続けると思います。

 はい、自分の生活にとって、なくてはならないものなので、やめません!

 

大事なのは、始めるタイミングではなく、継続すること

さわかみ君 このように、人々の生活に根付いた企業や経済というのは金融市場が崩壊しようが残りますし、その後景気が回復する中で再評価されます。再評価されるまでには我慢が必要ですが、安い価格で有望な株式が買えると思えば我慢も辛くありません。
さらに言うと、ご自身での夢や目標がある場合は、その目標が達成されるまで続けてください。目の前の相場に左右されるのではなく、自分の目標を軸に投資を継続するということが大事です。

 これから崩壊する可能性があるのなら、崩壊した後から投資を始めた方がいいのでは?

さわかみ君 全くその通りです。ただ一つ申し上げておきたいことは、今度は「どのタイミングで買い始めるべきか」という悩みが出るだけですね。暴落したタイミングで始めるべきか、改善の兆しが見えてからにするか等々、考えすぎて結局最後まで買えなかった、というのがオチです。株価が一番低い時点で買うのが当然一番良いのですが、それを見つけられないのが投資の世界なのです。
大切なのはスタートを考えすぎないこと。確かに今後大きく株価が下がる可能性もありますが、その時安値で買っている分、次の上昇まで続けていれば利益は自然と出てくるようになります。長い目でみれば短期的な相場の上がり下がりは誤差でしかないので、あまりスタートにこだわらずに、すぐに始めてみてください。
もう一つ大事なのが「一回で大きな金額を投資しない」こと。一回でまとめて買ってしまうと、相場が下がった際に大きな損失が発生し、さらに安値で追加投資することもできません。ポイントは買うタイミングをいくつかに分散させ、上昇でも下落でも買い続けることです。

岡・五来 なるほど。あまり心配しすぎず、長い目で続けることにします!ありがとうございました。

関連記事
RELATED

「投資の始め方」の他の記事
OTHER