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「投資信託(ファンド)のライバルとは?」と問われたらどう答えるだろうか。まずは大分類(対象資産や国別)で区分し、その先でアクティブ型・パッシブ型と括っていくだろう。しまいには販売会社を経由するタイプ・しないタイプ(直販)と分けられ、モノによっては類似するファンドは5 ~ 6 本まで絞られる。無論、比較要素は期間、規模、分配金方針など様々あり、実際のところ一つとして同じファンドはない。ただし個人投資家の立場から見れば、類似する数本程度をテーブルの上に並べ、どのファンドが良いか吟味するはずだ。

個人投資家から見ればその数本程度が一口に“ ライバル(同等の選択肢)”となろう。だが、我々ファンドを組成し運用する立場は全く違う光景を見ているのだ。

 

ファンドは何に勝つことを目標とする?

販売視点でライバルを挙げるならば、上述の通り個人投資家の選択肢に陳列される括りが正しいと言えよう。「買ってもらってなんぼ」が指標であり、手数料を稼ぐことが目標だからだ。しかし運用者は運用成績を重視する。運用成績自体は個人投資家の売買の影響を大きく受けるものの、それを踏まえても純粋に勝ちたい相手がいる。その相手、つまりライバルはCPI を代表とする物価上昇率だ。

 

物価上昇率に勝つとはどういうこと?

端的に言えば、物価に勝つことは個人投資家の購買力を高めることを意味する。例えば、年率平均で1%のパフォーマンスを出すファンドA があるとしよう。ファンドA を100万円一括購入し、途中で売買を一切せずに持ち続けたとすると、30 年後には135万円弱に成長する。仮にそこで売却し、税金を納めたら127 万円強戻ってくる計算だ(手数料は考慮せず)。

同じ期間、物価が毎年平均2%上がっていったらどうなるか。ファンドA を購入した当時、商品αも同額の100万円だったとする。それが物価上昇を経て、30 年後には181万円強に値上がりすることになる。

重要なのはここから。100万円をファンドA に投資し30 年後に得た約127 万円(税金控除)では、同じく30 年後に値上がりして約181万円となった商品αを買うことができない。だとしたらファンドA に投資などせず、最初から商品αを買っておけば良かったということになる。つまり、ファンドA に投資をした結果“ 購買力” が損なわれてしまったのだ。なお、αを特定の商品と位置付けず、生活コスト全般と置き換えたらどうだろうか。30 年経って目も当てられない状況と言えよう。

 

物価上昇率に勝つためには、そのモノを供給する企業(株式)に投資をするのが合理的

物価とはモノの値段である。消費者から見ればコストだ。しかしモノの売り手である企業から見れば売上なのだ。物価全体が上がれば我々の生活は苦しくなり、買うモノと買わざるモノのシビアな選択に迫られる。しかし生活する上で欠かせないモノであるなら、それは値上がろうが買わざるを得ない。そういった生活に欠かせないモノを供給している企業は強く、業績向上に伴った株価上昇も期待ができる。

 

物価上昇は必ずしも悪いことではない。企業の売上が上がり、給料が上がり、値上がったモノを我々が抵抗感なく購買できるようになればよい。それが経済成長だ。

インフレの圧力を体感できるようになった昨今、物価上昇に勝てる合理性のある投資運用が試される時が来ている。

 

【2023.7.25記】代表取締役社長 澤上 龍

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