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AIの進化が止まらない。チャットボット、画像生成、翻訳、設計、創作……ニュースを開けばAIの話題があふれ、SFだった未来が現実になりつつある。ただ、この変化が私たちの暮らしにどう影響するのか、それを正確に語れる人はまだ多くない。

ただひとつ、確かに言えるのは、変化の規模が想像以上に大きく、深く、速いということだ。

 

三つの革命を経て、いま立つ「第四の革命」

人類は三度の革命を経験してきた。農業革命では狩猟採集から耕作へ移り、食を“つくる”存在になった。産業革命では機械による大量生産が都市化を加速させ、近代化をもたらした。情報革命ではインターネットが登場し、情報がモノと同等の価値を持つようになった。

そして今、私たちは第四の革命——AI革命の真っただ中にいる。人工知能、ロボティクス、ビッグデータ、IoT。知能はすでに人の手を離れはじめている。

これまで“人間”が考え、“機械”が動いた。これからは、AIが“考え”、人間が“動く”。そんな時代の扉が、音もなく開かれた。

 

それでも変わらないものがある。

どれだけ社会が変わっても、人は寝て、食べて、笑って、生きていく。この根源的な営みは、AIがどれだけ進化しても変わらない。だからこそ、さわかみ投信の長期投資も変わらない。衣・食・住・健康・安全——人間の営みに根ざした企業に、私たちは変わらず投資を続けている。

ただし、人間の営みそのものも、革命を経て再定義されてきた。AI革命も同じだ。たとえば「寝なくていい体」が生まれたら? 食べ物が農業からではなく培養技術で生産されるようになったら? そのとき、私たちが支える企業も変わる。食品企業ではなく、医療やライフサイエンスの企業が主役になるかもしれない。

想像できるだろうか?
“人間の定義”そのものが変わる未来が、もうそこまで来ている。

 

AI時代に問われる「人間の選択」

さわかみ投信が大切にするのは、「未来を当てる投資」ではなく、「未来を形にする投資」だ。想像と論理、覚悟と期待。そのすべてを込めて今ある企業に未来の種を見出し、伴走する。それが私たちの投資哲学である。

すべてが自動化される時代。だからこそ、「人間の選択」や「判断」がこれまで以上に重みを持つ。
• どんな社会を信じるのか
• どんな企業を応援したいのか
• どんな未来を、子どもたちに手渡すのか

未来は、誰かの決断から始まる。そして、その意志や想いに光をあてるのが、私たち投資家の役割だ。

AIが「善悪」を判断する時代が来たら? その基準は誰が決めるのか? 正しさは文化や時代によっても変わる。未来を動かすのは技術ではなく、どんな価値観を持つ人がそれを選ぶかだ。

未来は、ひらめきや技術だけでは実現しない。それを信じ、支え、行動する人がいてこそ、初めて社会に根づく。

だからこそ、投資とは資本で未来をつくる“意志の投票”であり、希望への共鳴でもある。目の前の利益だけでなく、10年後、50年後を見すえる視点。それこそが、投資家の本質だ。

そして今、私たちは問われている。
どんな未来を、誰とともに築いていくのか。

この時代にこそ、覚悟ある投資で応えたい。
未来を選び、支えるのはAIではない。

人間の“信じる力”なのだ。

 

取締役副社長 熊谷 幹樹

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