トランプ関税で世界は不確実の極みとなった。面倒なのはトランプ氏の態度変容。より良い選択があるなら朝令暮改も厭う必要などはない。勇気をもって変えるべきだ。しかし、氏のそれはあまりに極端であり、更には影響力の大きさから世界が激しく振り回されている。朝令暮改に必須である信念も見えない。これは大いに問題である。
そのようなトランプ氏の言動を俯瞰で見ていると、案外、常識的な着地点に収まるような気もしている。世界を揺さぶることで“王”としての自尊心を確保し、また揺さぶること自体がお得意のディール。その過程で各国の歩み寄りを引き出したらならば、米国民に対してドヤ顔で言うのだろう。「俺やったよ!」と。それで決着を迎えるのかもしれない。
自分でコントロールできるものに集中すべき
読めない未来に不安を抱いても何も生まれないし、立ち止まっていたら最も大切な資産である“時間”を浪費してしまう。ここは自分の軸をもって行動すべき時だ。意思と行動で未来は変えられる。どのような未来が望ましいか。その道は自分で選択しなければならない。
一つ言えるのは、世界は抗えないインフレの渦中にあるということ。資産価値や賃金が物価に比例して上がれば良いのだが、コントロール不可なものに過度な期待は抱いてはいけない。価格は市場、賃金は雇用主が決める。ゆえに、対処するならコントロール下にある生活費となる。節約は今すぐ、意思と行動によって可能なのだ。
生活する上で必要なモノ・サービスへの支出は抑えることができない。むしろ、多少の値上がりを受け入れてでも購入することになるはず。しからば何を節約するか? もちろん、不要不急なものとなる。贅沢品や嗜好品、大好きな旅行やブランド品の買い漁りなども我慢を求められよう。あいにく、社会保険料やその他コストは下がる気配がない。収入が限られている以上、支出の組み換えを行って生活を防衛しなければならない。
選択する時代で「勝つ選択」とは?
生活にとって必要な支出と節約……望んだものではないかもしれないにせよ、その判断は自分で下すことになる。そしておそらく、その選択は世間一般と似たり寄ったりとなる。人間が暮らしていくための選択であるため、至極当然のことだろう。これから先、選ばれる企業が生き残り、選択肢に入らない企業や対応できない企業は市場退出を迫られる。厳しい冬を乗り越えられるのは、社会に必要とされる企業だけだ。
そうした生死二極化は、投資をするに際しても検討した方がいい。何もかもが上昇したカネ余りの時代は終焉を迎え、選ばれた企業の業績・株価だけが越冬の先に上昇を見せる。勝つ選択は難しいものではない。生活者目線で考えれば、答えは身近なところにあると気付くだろう。
自分の未来を豊かなものにするためにも、意思を持って選択し、勇気をもって行動する時代が来る。選ばれない企業には申し訳ないが、ようやく未来を自分の色で描ける時代となるのだ。
【2025.4.25記】代表取締役社長 澤上 龍