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2014年2月13日訪問(本社、安城製作所)/アナリスト 坂本 琢磨

 

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売上高で世界トップの自動車部品メーカーであるデンソーの安城製作所を訪問しました。完成車メーカーや自動車部品メーカーの海外展開が進む中で、国内にありながら競争力を維持している数少ない工場です。同工場ではスタータ、オルタネータ、電気自動車/ハイブリッド車向けの製品を生産しています。特に今回のツアーで生産工程を見学したオルタネータは、デンソーの1970年以降の事業拡大の中心を担った製品です。ダイナモ(直流発電機)からオルタネータ(交流発電機)への技術革新、オルタネータ自体もⅠ型からはじまり、現在はSCオルタネータ(4代目)にまで発展しています。デンソーのオルタネータは世界トップシェアの26%を誇っています。芝刈り機からフェラーリまで多品種、かつコモディティ化したオルタネータを国内で生産しながら、しっかりと採算確保している生産効率の高さは特筆すべきものです。それを実現するために生産工程には様々な工夫があり、とくに同社製オルタネータの巻線方法は独特な製法となっていました。従来のようにステータコアに銅線を巻くのではなく、U字型の銅線をはめて、ねじって、溶接します。当然ながら製法が独特なため設備も内製化されており、4、5年をかけて開発されたそうです。

 

そのような工夫を可能とする要因の一つに、今回見学した技能道場があるように思います。最近では生産が自動化されており、製品の構造を深く理解しなくとも手順さえ覚えてしまえば生産できるようになっています。しかしデンソーでは製品の構造を理解することを大切にしていました。道場では実際にオルタネータを一から手作業で組み付けるそうです。製品の構成を理解していることで、全く新しい生産方法を生み出すことが可能なのでしょう。

 

オルタネータのみならず、デンソーは多くの革新的な製品を生み出してきました。2013年度国内販売台数1位になったアクア(TOYOTA)に採用されているモータジェネレータもその一つです。

 

今回の見学にはデンソーで定年まで働かれたお客さまにもご参加いただきました。地元に愛され、雇用を生み、かつ持続的に競争力を維持しているデンソーのような企業は日本の宝であると感じました。

参加されたお客さまの感想
●案内してくださった方が、とても情熱的で楽しそうであり、仕事に誇りを持っていると感じました。
●日本を代表する企業として、技術開発・物づくりを頑張ってください。誇りに思える会社は嬉しいです。技術の多様化を今以上に望みます。高齢化社会に向けての開発もお願いします。
●ますます骨太な物づくりを続けてほしい。市場の変化の適応力にやわらかな企業風土を感じる。今後も続けてほしい。物づくりの多様性と人材の豊かさに関心。今後も人を大切に生かした企業であってほしいと思う。
●危機感を持って、常に新しい挑戦をしている姿勢が伝わってきた。今後も愚直に真摯に物づくりに取り組んで頂き、グローバルに活躍されることを祈念します。
●工場を見学して、日本の物づくりがどのようにして行われているかを見ることができました。ありがとう。エコ・ウィングを街のどこかで見かける日を楽しみにしています。

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