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競争力の源泉は弛まぬ改善活動
 気持ちの持ちようもすごく大事だと思いますが、それだけではV字回復には繋がりにくいと思います。現実的に生産性を上げるような独自の取組みのようなものはあったのでしょうか?

 改善のスタートは1985年のプラザ合意です。為替(ドル)が一気に切り下がったことを契機に頂いた注文だけで利益を出せるように改善活動を始めました。もう30年以上もやり続けることで、改善の文化というのが本当に根付いています。恐らく、電子部品会社の中でもトヨタ生産方式を導入したのは当社が初めてではないでしょうか。ただ、分業をしている会社でトヨタ生産システムをやるのは実は難しいのです。それをワークショップ制といって、製品群別にタテに管理する組織に変えました。つまり、ショップ長の下には品質もいるし、調達もいるし、ものづくりもいて設備屋さんもいてと、ワークショップの中で完結できる体制になっています。だから自分たちがどこまでやるか、やり切ればこう変えられるというKOA流の生産システムを構築したことが改善活動をやり続けられているポイントだと思います。

抵抗器の技術を応用して作られた風の見える化装置

 御社の抵抗器の違いは品質にあるということがよく言われますが、何故、他社は御社と同じ品質のものを作れないのでしょうか?

 かつて、改善活動の初期では、少し品質が置き去りになっていた部分がありました。その後、2000年からは「車載」を象徴的な拡販ターゲットと意識して「人命にかかわる品質」を核にしてきました。自分や家族も車に乗るものなので、そういったことを考えると品質に手を抜くことは絶対にできません。もう一つ大事なことは、「株主」、「お客様・お取引先様」、「社員・家族」、「地域社会」、「地球」というKOAを支えていただいている5つのステークホルダー(KOAでは「主体」と呼んでいる。)との信頼関係を作ることです。かつて欧州で電子部品に対する環境規制の一つとしてRoHS指令というものが出ました。当社がRoHS準拠品として販売していた製品の一部にこれに違反するものが含まれていることが判明しました。その際当社はいち早くその事案を、お使いいただいているお客様全てにお知らせしました。当然きつく怒られました。ただ、その時の対応が後になってお客様との信頼関係構築に役立ちました。嘘は絶対つかない。悪いことほど早くお知らせする。そんな当たり前の精神で作っています。

KOAが大事にする5つの主体との信頼関係

 御社の品質が高いと言われる理由は決して製品としての品質だけではなく、会社としての品質、それを支える人の質もあるということですね。
 サプライチェーン上での対応力もそうですし、問題が起きた時に、それを解決する社員はここまでやるかというくらいに一生懸命にやる。だから逆にお客様から喜ばれたりするということです。そういうことの積み重ねじゃないのかなと思います。かっこよく言えば品質を重視しながら愚直にやっていったというのが認められているんじゃないかと思っています。今、車載向けの比率が約4割です。品質改善の取組みを始めた頃に、ある自動車メーカーさんの有名なある車に使ってもらおうというプロジェクトが立ち上がりました。そこで、製品の品質のみならず仕事や社員の品質も向上しないと安心してお使いいただけないというところで、いろんな取り組みが始まりました。そんな取り組みの中で、不具合率を圧倒的に下げてきました。おかげでKOAの抵抗器ってちょっと高いけど、たしかに性能いいよね、信頼性あるよね、サービスいいよねという評価をいただけるようになり、ECUという重要な部品にもKOAの抵抗器をたくさん使っていただけるようになったというのがまさに2000年からの改善活動の成果です。

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