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鹿児島在住 永田 静一郎 様

2017年10月に1本の電話を受けた。内容は、ご子息・ご息女への贈与の相談。その電話以降も、お人柄に引き込まれるようにいつも親しくお話しさせていただき、鹿児島に勉強会に行った際にも何度か直接お会いしている永田さまをご紹介する。

さわかみ投信との出会

「2000年に60歳の定年を迎え退職金をどうしようか考えていたら、女性のFPの方からおもしろい投資信託があるとさわかみ投信を紹介してもらって自分で調べてみた。HPや本を読んでみて、将来の社会のためになる企業を選んで応援するんだという方針がよくて、これだと思った」
その後、100万円換金しようと思い電話をしたら、50万円以上の場合、信託財産留保金(現在は撤廃されている)がかかるので、50万円を2回に分けて換金するようアドバイスを受け、お客さまのことを考えている会社だなと思いさらなる信頼が高まったとのこと。

生き方について

仕事が3年ごとに変わっていき、その度に色々なトラブルが発生するが、毎回外部関係者も含めて仲良くなってしまう永田さま。不思議に思い、その人を惹きつけてしまう生き方について聞いてみた。ちなみに私も惹きつけられた一人。
「恕だと思う。相手に対して思いやりを持つということ、これは生きていく中で大切なことだと思っていたが、40歳の頃に論語※でこの言葉を見つけこれだと思った。母は自分を捨てるというか、利他の人。己を忘れて他人のために動く人だった。その影響が大きく、それが当たり前のように育った」と語る永田さま。
ホテルの総務部長をしていた時に小火を出してしまい、消防や警察から呼び出しをされた際も、その時およびその後の真摯かつ謙虚な姿勢により仲良くなったり、人事部長の時には優秀な副部長に「あなたに任せる、責任は俺がとるから好きなようにやれ」と発破をかけ、大きな仕事を進めた。そこには恕の心から出てくる、人への信頼や相手から謙虚に学ぶ姿勢を感じる。そのような永田さまだからこそ、今年東京で入院したときに、30年前の部下の方々がお見舞いに来られたのだろう。

将来について

「70歳を過ぎるといつ何があってもおかしくないから、ご子息・ご息女には持っている財産を開示している。資産運用はさわかみさんに預けているので今後の心配は特になく、明るく・楽しく・元気であれば幸せ」と語る永田さま。しかしながら、恕の心を持つ永田さまには、まだまだ活躍する場があるような気がする。
お客さまインタビューをお願いした際に、「私には話をするような特別なことはありませんよ」とおっしゃっていた永田さま。思っていた通り、決してそんなことはなかった。恕の心で生きることを地道に実践され続けていること自体がすごいことである。というのも、自分の利益を最優先で考えるのが普通なのだが、一貫して他の方の利益を優先しているところがすごい。その結果として永田さまの人望および現在の幸せにもつながっているように思える。
これは長期投資にも言えること、お金を将来のために手放し、それがやがては世の中の役に立ちリターンとして戻ってくる。我々は世の中の道理に従って行動しているだけだが、一般的には自己(自社)の利益を優先してしまうので、なかなかこれができない。世の中の道理に従って生きることの大切さを知っている永田さまだからこそ我々の考え方に共感いただけたのだと思う。

直販部 大野

今回のインタビューでうれしい発見は、永田さまが働いていた会社が、さわかみファンドの投資先の1つであること。そして恕の心で生きてこられた永田さまがその会社で役員をされていたことである。企業の役員といえば、「俺が俺が」というタイプをイメージしていたが、利他を優先する永田さまを役員に抜擢する会社が投資先にあるということがなんとも嬉しい。それは、尊敬する西郷隆盛の言葉「徳高き者には高き位を、功績多き者には報奨を」に共感しているからだ。また、インタビューの最後に原稿の内容をどのようにして確認するかお尋ねしたところ「確認は必要ありません。すべて大野さんにお任せします」という返事が返ってきた。こんなこと言われたら、全力で頑張るしかないじゃないのと心の中で思った。さすが永田さまといった感じだ。

取材の翌日、勉強会終了後に東京にすぐに戻る予定だったが、台風の影響で鹿児島に足止めされてしまい、少し鹿児島の史跡を見る時間がとれた。そこで感じたのは、幕末や明治の頃にこの地の方が将来のための布石を先行して打っていること。その努力も半端ないものだった。振り返って「本格的な長期投資で世の中をおもしろくしていこう」を実現するために転職してきた身としては、当時の初心を思い出した。次の言葉を肝に銘じて精進していく所存である。

「人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」西郷隆盛

【直販部 大野 敦久】

※論語~
衛霊公第十五
『子貢がおたずねしていった、「ひとことだけで一生行っていけるということがありましょうか」
先生はいわれた、「まあ恕(思いやり)だね。自分の望まないことは人にもしむけないことだ。」』
出展 論語 金谷治訳注 岩波文庫

 


鹿児島在住 永田 静一郎 様

長期投資歴:19年。穏やかな薩摩隼人

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