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(左)管理部 小宮山 蓉子 (右)情報システム部部長 江藤香織

株式相場が大きく動いた日、情報システム部部長の江藤が全社員を前に言った“後悔”という言葉が私の心に刺さっています。江藤がどういう想いで、さわかみファンドやファンド仲間の皆さまと向き合ってきたのか、その一端を見たように感じました。さわかみファンドは目に見えず、触れることもできません。しかし動いている数字(基準価額)の裏には、江藤をはじめ全社員がいます。食べ物や衣類などの手に取れる商品と同じように、否応がなく、作り手である私たちの心が反映されてしまうものなのです。そこで今回、江藤香織という“さわかみファンドの作り手”を通してさわかみファンドをご覧いただきたくインタビューをしました。

お金のことで自殺する人をなくしたいと思っていたのに

小宮山(以下小):江藤さんが先日の夕会(夕礼)で「以前の自分の電話応対を後悔している」と言ったことがとても気になっています。
江藤(以下江):リーマンショック当時の自分の電話応対を思い出しての発言です。泣きながらお電話をされてきたファンド仲間の「私のお金はどこにいったのですか?」の声に、とっさにお伝えする言葉が浮かばなかった。少しでも共感しようと、ご心配をおかけしたことをお詫びしましたが、本当にお伝えすべきことを私は伝えられなかったのです。私は「お金のことで自殺する人をなくしたい」「真っ当な金融機関・金融商品をつくりたい」と思いさわかみ投信に入社しました。それなのに、大きな下落相場に悲しまれているファンド仲間に、さわかみファンドへの自信を伝えられず、資産を減らして解約されるお客さまを私が増やしてしまった。リーマンショック後、解約せずに定期定額購入を継続したファンド仲間の財産は殖えています。「さわかみファンドは大丈夫だから、株価下落だけで解約しないでほしい」と言えず、共感して謝ってばかりだったことを猛烈に後悔しました。

私が伝えないと!

:このことがあり、まだ自分はさわかみファンドや長期投資を信じ切れていないことに気付き、長期投資について様々な機会を活かして一から勉強しました。
:どのように勉強したのですか?
:私は高専出身なので、長期投資や企業を技術面から見ると理解しやすいと思い、企業訪問ツアーの担当になることを強く希望しました。そしてツアー当日にできるだけ多くのことを吸収できるよう相当に予習して挑み、企業訪問を繰り返す中で、“日々の生活を支える企業”という言葉の意味を深く理解していきました。“株式”の社会的役割の大きさも知り、日本、世界の歴史、社会の移り変わりについても勉強しました。そんなある日、様々なグラフを長期スパンで見ていてふと気が付きました。2008年のリーマンショックの際、自動車の販売台数が落ち込み、自動車・部品メーカーの株価が大きく下がりました。一方で自動車の普及状況に目をやると、当時、自動車が世帯全体に普及していたのは欧州と米国と日本くらいで、中国は13億人もいるのに自動車の保有台数は1億台以下でした。世界人口は急増しているし、まだ自動車が普及していない国々には今後普及が進むはず。ということは、いずれ自動車の販売台数は戻るし、株価も戻るはずだと思いました。「株価が動いたけど、それで自分たちの生活、日本、世界はどうなるか」と考えることが自分の中に落とし込まれたとき、長期投資ってこういうことかと、さわかみファンドや長期投資を理解できた。株価がどう変化しようと生活を支える企業の活動がある。そう思うと、このような企業がたくさんある日本のことをも誇らしく思えた。こうして、確信した自分の長期投資への自信を次は多くの人に伝えていきたい、共感するだけではいたくなくて、勉強会を行うプレゼンターになりました。

ベアリングを思い出してください

:今また、新型コロナウイルスの影響で株式相場は大きく動きました。何をファンド仲間の皆さまに伝えたいですか。
:株価が動くと数字に意識がいってしまいがちです。しかし株価に関わらず、私たちが生きていくために必要なモノをつくり提供する企業の活動は続いています。さわかみファンドはそういう企業の集まりだから大丈夫だって伝えたいです。私は勉強会でベアリングという部品をお見せして話をします。ファンド仲間が不安になったときに「そういえば江藤さんが楽しそうにべアリングを持って、大丈夫と言ってたな」と思い出してほしいからです。ファンド仲間には、さわかみファンドを通じて、ご自身が企業のオーナーであるということも同時に思い出してほしいと思っています。

:私もさわかみファンド、長期投資の本質を理解しようと努力してきました。そして「もしかして、こういうことか! 長期投資ってすごいな!」と思ったときの宝物を見つけたような感覚、自分の仕事の意味を見出すことは、当社で働く醍醐味だと思います。この考えあぐねる過程を経て、社員はさわかみファンドの作り手になっていくのかなと思っています。買うにしても売るにしても、作り手が心の底から自信作だと誇りに思うものを買いたいし、売りたいと思うのはファンドについても同じです。後悔を経て努力を重ねた江藤のような作り手がいるから私も自信を持ってさわかみファンドをお届けすることができる。そういった信頼関係の中でさわかみファンドという当社の自信作がつくられ、誇りを持って届けられているということをお伝えできたなら幸いです。

【管理部 小宮山 蓉子】

 

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