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僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。
出雲 充著
小学館新書

異常気象や局地的な集中豪雨をもたらしている地球温暖化で、その元凶とされているのがCO2の大量排出問題である。メタンガスによる温暖化はもっとひどいといわれるが、全体での排出量がすくないのであまり話題にならない。CO2削減には、エネルギー源を石炭や石油の燃焼に頼る度合いを一刻も早く激減させるしかない。かといって、原子力発電は放射性物質の放出や廃棄コストを考えると気が重い。

そこで再生エネルギーの登場となる。太陽光、風力、潮力、波力、地熱発電などへの期待は増すばかり。それと、海や森林によるCO2吸収である。EUや米国そして中国でも再生エネルギーの普及は急速に進んでいる。ひとり日本だけが、停止状態にある原発の再稼働にこだわって、再生エネルギーという観点からは周回遅れとなっている面は否めない。

本書でおもしろいのは、ミドリムシを育てる過程でCO2がエサとなる点である。これまでも、クロレラとかの培養でCO2吸収は話題になってきたが、ミドリムシの大量培養には興味をそそられる。

ユーグレナ社はさんざん苦労したが、世界ではじめてミドリムシの大量培養に成功し、工業化の道を着々と進めている。今後の発展に期待するところ大である。大量に工業生産されたミドリムシが食料となったり、バイオ燃料としてエネルギー代替も進む。その過程でCO2は大量に吸収され、地球温暖化にもブレーキがかかる。想像するだけでも楽しいではないか。

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