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2022年度より高校での金融教育が始まりました。ここでは、お金を通した社会との関わり方や、子どもの未来のために何をすべきかなど、学校の授業では教えてくれない「お金」と「生きる力」の育み方についてご紹介します。
教えてくれるのは、さわかみ投信確定拠出年金部の計倉宗州(とくら そうしゅう)です。ファイナンシャルプランナーと企業年金総合プランナーの資格を持つお金のプロです。11歳の息子を持つ父である彼に、お金との向き合い方や実践しているお金の教育に関して根掘り葉掘り聞いてみました。今回は、インデックスファンドとアクティブファンドについて。

 

インデックスとアクティブ


——最近、ある特定のインデックスファンドを勧めるような記事をよく見ます。そもそもインデックスファンド(以下、インデックス)とアクティブファンド(以下、アクティブ)って一言でいうと何が違うんですか?

計倉:一番大きな違いは、運用の目標が違うことだと思います。ファンドの目論見書を読むと、インデックスは「指数に連動する投資成果を目指す」と書いています。日本でいうと、TOPIXや日経平均株価、アメリカでいうとS&P500やダウ平均株価などに連動して運用するよ、ということですね。指数を上回ってもダメだし、下回ってもダメ。あえて意地悪な言い方をすると、インデックスが一番大切にしているのは指数と連動することで私たちのお金を増やすことではないんです(笑)。

——ほとんどの方が資産形成を目的としていると思うのですが、インデックスは資産を増やすものではないんですか!?

計倉:インデックスは指数と連動するので、その指数が上昇すれば、結果的に資産が増えることになります。つまり指数次第ってことですね。一方、アクティブの場合は、一般的に「運用方針に基づいて、資産の長期的な成長を追求する」と、書かれていると思います。どちらが良い悪いではなく、あくまでも目指す方向性が違うんだっていうことを押さえておきましょう。

——運用方針や目指す方向性はどうやったら分かるのですか?

計倉:アクティブの場合は運用会社によって独自の運用方針があるんですが、目論見書だけ見てもちょっとわかりにくいと思います。やっぱり自分の大切なお金を信じて託すわけなので、どういった考えで運用しているのかを運用責任者に直接聞くのが一番。

——HPを見るくらいでは足りないんですね。

計倉:全然足りないですね(笑)。ネットの評判とかもダメですよー。だって生涯のパートナーを選ぶとき、見た目や経歴だけでは選ばないでしょ?(笑)お互いの価値観を尊重できるとか、無理せず一緒に自然体で過ごせるかどうかって重要じゃないですか?
投資信託も同じです。長期にわたって資産形成していく中で、過去の実績だけで判断するのではなく、どんな考え方に基づいて投資しているのかを理解できると一喜一憂せずに安心して付き合っていけるのではないかと思います。
ちなみに“資産形成”の手段としてインデックスという選択肢はありだと思いますが、“投資対象”として考えるなら私はインデックスを選びません。私が考える“投資”とは、投資対象(企業)が成長することで世の中が豊かになって、その結果として、私たちに経済的、あるいは精神的なリターンをもたらしてくれるものです。
全ての、とは言い切れませんが、アクティブの場合は運用会社のアナリストたちが、運用方針に沿って、企業の事業内容や業績、理念などを調査し、議論を重ね投資先を選んでいます。自分たちのお金を投じることが世の中に対するメッセージにもつながるのが、アクティブへの投資の特徴だと思うんですよね。

 

ファンドの選び方


——自分の子供や孫が将来生きる未来のためと考えると、また選び方も変わりそうですね。これまではなんとなく「初心者はインデックス」というイメージがありました。

計倉:インデックスはアクティブと比較して手数料が安かったり、つみたてNISAの対象として多く採用されていたりするからかもしれませんね。
ただ、初心者にこそインデックスの特徴をしっかり理解したうえで選んで欲しいですね。しつこいようですが、インデックスは指数と連動することを目指すものです。私たちの資産を増やすために運用しているわけではありません(笑)
インデックスは常に指数に連動するように運用しなければならないため、個々の投資先が割高であろうが割安であろうが関係なく投資し続けることになります。一方、アクティブの場合は、個々の投資先を調査することで、今は割高だから投資せずに現金で持っておいて様子をみようとか、今は割安だから追加で投資して将来の上昇に備えようとか機動的に運用することができるのです。

——「アメリカのインデックスを買っておけば間違いない」という発信を見て、よくわからないままなんとなく買ってしまう人も多いんじゃないかなと思います。

計倉:そうですね。例えば、ここ10年間の実績だけを見るとアメリカのインデックスの成績が上がっているのは確かです。しかし、今後も上がり続けるかどうか誰にも分かりません。アメリカの景気が後退してくると当然、指数と連動するインデックスも下落していきます。もっと下がった時に追加投資をするために、今は投資せずに現金で持っておこうという選択肢はインデックスにはないのです。

また、あえて極端な話をすると、もしこれから全ての方がアメリカのインデックスがいい!と言って誰も日本の株を買わなくなったとします。すると日本企業の株価が暴落し、次第に企業価値が低くなり倒産したり外国の企業に買収されたりする可能性もでてきますよね。それにより、いつも使っているサービスや好きな商品が手に入らなくなったり、法人税の減少を補うために所得税や社会保険料が上がったりと、私たちの生活はどんどん苦しくなるかもしれません。私たちが自分のお金だけ増えればいいやと思って投資することが、バタフライ効果のごとく、巡り巡って結局自分の首を絞めることにもつながりかねません。
「日本で生活するなら日本企業以外に投資すべきではない」とまでは思いませんが、消費も投資も私たち一人ひとりの行動が世の中に影響を与えてるんだってことを少しでも意識して行動するって大切なんじゃないかなぁって思ってます。

 

【計倉 宗州(とくら そうしゅう)プロフィール】

さわかみ投信株式会社 確定拠出年金部 部長
AFP/2級DCプランナー
茨城県つくば市在住。都内勤務。1児(小4♂)の父。生まれも育ちも関西ですが、2008年に現職に転職のため上京。いまだに東京に慣れてません。基本的に関西弁しか話せません。趣味は料理です。

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