Sawakami Asset Management Inc.

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先般実施されました運用報告会での発表内容についてご紹介致します。

まずは第27期の結果をご報告致します。

さわかみファンドの基準価額は50,448円で終え、複利年率は6.2%になりました。口数や純資産額、株式評価総額、現金等は下図の通りです。

 

第27期の相場環境は、依然として米国を起因とした外交政策による不透明感が継続する中、米国における複数回の利下げや日本国内のインフレによる名目ベースでの経済成長、生成AIの発展に関連した旺盛な設備投資を背景に総じて好調に推移しました。年度末にはレバレッジを伴った半導体株への投機的な買いにより、短期間での異常な上昇とその反動を目の当たりにしましたが、現在ではその影響は概ね解消されたと考えられます。

業種別では、AIデータセンターに対する膨大な投資を背景に半導体や光ファイバー、あるいはその周辺部材を提供する非鉄金属業や電気機器、ガラス・土石などの業種が値を伸ばしました。また日本経済の正常化に伴う利上げの恩恵を受ける銀行業や中東紛争による原油価格上昇で採算改善の見込まれる鉱業も好調に推移しました。

 

売買行動では、買付金額は483億円(前期比+70億円)、売却金額は737億円(同▲72億円)となりました。生成AIの発展がソフトウェアやコンテンツの事業価値を毀損する、いわゆる「SaaSの死」が声高に騒がれた局面にて、ソニーやトレンドマイクロなどを買い付けました。また中東紛争による下落局面では、市況関連である自動車や素材、金属などのセクターに属する企業を新規に組み入れております。売りは、株価上昇で割高になった企業やガバナンスの問題で保有リスクの高まった企業、現金比率低下への対応を主な理由としています。

第28期は金融政策による追い風に期待するのは難しいでしょう。米国が利下げを実施した昨年度と異なり、今年度はAIデータセンターへの投資を中心とした力強い経済環境に対して、現時点ではFRBによる利上げが予想されています。また日本の政策金利は1.0%と依然として低水準です。現状のインフレ率がガソリン補助金などの政策によって抑制されている点や投機的な円安に対する対抗措置として、今後も複数回の利上げが見込まれます。本格的な金融引き締めとする水準へ向かうのはまだ先でしょうが、市中金利の着実な上昇は真綿で首を締めるように実体経済へ悪影響を及ぼし得ます。昨年度に現金比率を引き上げましたが、企業価値に対して過剰に売られた企業に対しては積極的に資金を投下し、引き続き中長期的な絶対リターンを積み上げるべく邁進してまいります。

【運用調査部 ファンドマネージャー 坂本 琢磨】

 


今後の運用調査について

➊変わらない点

三人四脚の価値観で未来を共に切り開いていく美意識は不変です。ファンド仲間の皆さまの「真っ当な投資」と無くてはならない製品・サービスの「真っ当な消費」によって経済が成長し、その成果として生まれる株価上昇のリターンをファンド仲間へお戻しする。そうした成熟国らしい経済のイメージを下図のトライアングルでご説明しました。

❷「世の中に無くてはならない」の目利きについて

本年は「無くてはならない」の目利きについて具体例を交えながら報告しました。過去2年間の外部機関との連携活動や(一財)さわかみ未来創造研究所を通じた研究者との交流により、産業界の未来予測のための一次情報の収集範囲は大きく広がりました。今回は、その中から「食」「宇宙」「表面加工」を取り上げ、産学官連携による事業化の進展状況について解説しました。これらの取り組みは、今すぐに個別企業の収益に結び付くわけではありません。しかし、動き始めた実体経済のうねりとして将来を見通すうえで重要なヒントを与えてくれます。私たちはこうした変化の兆しをとらえ、早い段階から一緒に汗をかきサプライチェーン(商流)の構築に貢献している企業に注目しています。このような愚直な観察の積み重ねが、さわかみにしか生み出せない長期投資のアイデアの源泉となっています。

まずは「食」。植物眠り症を克服するための休眠打破剤の開発について説明しました。地球温暖化によって冬期に十分な冷温を経験できない植物が、休眠したままで春になっても芽を出さず花も咲かせない“眠り症”が顕在化しています。10年間かけたスクリーニングによって発見された休眠打破剤とその基本特許について紹介し、共同研究の進捗を報告しました。

次に「宇宙」。半永久電源の開発について解説しました。2020年代での月面基地の建設計画においては過酷な環境で動き回る探査車(ローバー)が求められていて、その駆動を支える半永久電源が開発されています。2点の重要な開発のポイントがあり、1点目は半導体の微細構造をナノレベルで改良し熱電発電の効率を上げたこと、2点目は半永久の発熱体を開発したことです。後者の原料を放射性廃棄物から抽出した点は興味深く、壮大なスケールのリサイクル事業としても注目しています。火星探査や深海探査など、他の過酷な環境でも同様に半永久電源は必要とされていくでしょう。

最後に「表面加工」。熱を加えないでセラミックスの薄膜を作る技術を説明しました。“常温衝撃固化現象”という、微粒子を高速で金属板に衝突させ、衝撃エネルギーを粒子間の結合エネルギーに変換する方法です。この技術は既に、先進的な表面コーティングとして実用化されています。ガスタービンのブレード(羽根車)など高温高圧の過酷な環境で使用する部材の表面を、セラミックの強固な薄膜で保護し耐久性を向上させます。現在、基本特許の更新として新たな設計指針が完成し、従来に比べ膜厚で複雑な立体形状の部材へのコーティングへと進化しています。3Dプリンターによる遠隔地からの補修工事にも応用できる技術として注目しています。

 

講演での発表とは別に「炭入りプラスチック」「点群PNG」「レアアース泥」についても会場でファンド仲間の皆さまと対話しました。それぞれの論点は下表のとおりです。

【取締役最高投資責任者 黒島 光昭】

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