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株式会社ブリヂストン
久留米工場(福岡県久留米市)

乗用車用タイヤで、世界シェアナンバーワンのブリヂストン
創業の地である久留米工場を見学してきました。

 

 

 

 

①11:30博多駅集合/13:00久留米駅集合
久留米はゴム産業発祥の地。直径約4m・重さ5tの世界最大級のブリヂストンのタイヤが駅前に展示されており、気持ちが高鳴ります。

 

 

 

②13:15 会社説明/事業説明 
ブリヂストンの企業概要やタイヤの作り方、鉱山におけるソリューションビジネスなどをプレゼンテーションしていただきました。

 

 

 

 

③14:20 久留米工場・展示ブース見学
工場内は残念ながら写真でお見せできませんが、自動化が進んだ大変きれいな工場に、参加者から驚きの声が上がりました。

 

 

 

 

 

④15:00 創業者 石橋正二郎氏の部屋見学
石橋正二郎氏の社長室を復元した部屋を見学しました。正二郎氏が実際に使用されていた机や椅子に座りながら、先輩から語り継がれるブリヂストン秘話を聞かせていただきました。

 

 

 

 

⑤15:20 質疑応答
「技術の伝承方法は?」「タイヤの再利用方法は?」「今後のタイヤの可能性は?」熱気溢れる参加者の質問に、丁寧にご回答いただきました。

 

 

 

 

 

⑥16:00 石橋正二郎記念館へ
ツアー後半は、久留米市に寄贈された石橋正二郎記念館を見学しました。「久留米市民の憩いの場に」という想いが引き継がれた素晴らしい空間でした。

▲入口にある「世の人々の楽しみと幸福の為に」という言葉には、企業経営と文化事業を通じて社会に貢献した正二郎氏の、生涯にわたる強い想いが表現されています。

映像や音声などの資料もあり、正二郎氏のひととなりにも触れることができます。

 

 

 

 

 

 

⑦17:00ブリヂストンの方と懇親会
最後は、ブリヂストンの方とファンド仲間の皆さまと弊社社員で懇親会を行いました。至近距離でブリヂストンの方からじっくりお話を聞くことができ、大変貴重なひとときでした。

 

 

 

 

 


タイヤ作りの凄みに触れる

4月11日、福岡県久留米市にある株式会社ブリヂストン(以下ブリヂストン)の久留米工場および、創業者の故石橋正二郎氏(以下正二郎氏)に因んだ石橋正二郎記念館を、25名のファンド仲間の皆さまと訪問しました。本誌では、今回お伺いしたブリヂストン久留米工場のツアー内容と、企業訪問ツアーの意義について皆さまにお伝えしたいと思います。

久留米市はブリヂストン創業の地であり、創業当時、海外からの輸入品がほとんどであった自動車用タイヤの国産化を使命として、1931年に久留米工場での操業を開始しました。そして現在でもブリヂストンにおける最新鋭工場の1つとして位置づけられています。私たちはブリヂストン社員の方々から企業概要やタイヤの構造、鉱山におけるソリューションビジネスなどをプレゼンテーションしていただいたうえで、久留米工場のタイヤ製造工程を見学しました。その詳細をお伝えすることは残念ながらできませんが、一見単純な作りに見えるタイヤが、実は幾種類もの材料が練りあわされ、多くのプロセスを経て複雑な構造へと組み上げられたものであることを実際に目にした参加者の皆さまからは、驚きと感嘆の声が上がっていました。
工程見学後は、久留米工場内に展示されている創業当時に生産された国産タイヤや、太平洋戦争期の戦闘機に装着されていたタイヤ、レーシング用タイヤ、大型旅客機用タイヤを見せていただき、また正二郎氏が使用していた執務室に案内していただきました。久留米工場を後にした私たちは、次に同じく久留米市にある石橋正二郎記念館を訪れました。正二郎氏はブリヂストン発祥の地であり、また故郷でもある久留米市に対して文化センターや現久留米大学創設への寄付など地域貢献活動にも力を入れていました。記念館では、正二郎氏が収集した絵画などの芸術品や、正二郎氏の人生や人となりを伝える資料が展示されています。そして、記念館と久留米市美術館を取り囲む庭園を散策した後、無事ツアーを終えることができました。

次に、私たちがファンド仲間の皆さまを企業訪問ツアーにお連れする意義についてお話しします。さわかみファンドはバリュー投資をその信条としていますから、企業への投資において私たちアナリストは、名前も顔も知らない他人が付けた値段(=株価)をあてにするのではなく、自分たちの頭で企業が本来持つ本質的な価値(バリュー)を推し量る必要があります。その時に私が用いるフレームワークの一つが、「レコード(成績)、リソース(資源)、プロセス(仕事の進め方)、バリュー(価値観)」という4つのポイントで企業を吟味する考え方です。これは、ハーバードビジネススクールのクリステンセンらの理論を、企業分析で使いやすいようにアレンジしたものです。この4つのポイントは、右上の図の関係になっています。そして、企業訪問ツアーを開催するのは、私たちが企業紹介等でお伝えしきれないプロセスやバリューについて、ファンド仲間の皆さまに直に触れていただきたいと考えているからです。
4つのポイントのうちレコードは、最も取得が簡単な情報であり、代表的なのは売上や利益といった財務情報です。あるいは株価やPER(株価収益率)といった情報も該当します。レコードは分析がしやすい反面、所詮は結果に関する情報でしかなく、企業価値が生み出される過程が削ぎ落とされています。ゆえにバリュー投資において、他の要素を見落として将来の利益を予想することに意味はありません。
リソースは設備や土地、在庫といったハードウェアや、特許やブランドといった無形資産にあたります。また単に労働力として捉えるならば、人間もリソースに含まれます。リソースは企業が将来生み出す利益の源ではありますが、「形」のあるものであり、売り買いが可能であり、近い将来にしか影響しない要素です。
プロセスは仕事の進め方に関する情報で、例えばタイヤを作るときに、外から部品を買ってくるのか、それとも自分たちで作るのかといったことや、あるいは経営での意思決定をワンマンのトップダウンで進めるのか、それとも合議制で決めるのか、といったルールが該当します。プロセスは売り買いできるものではなく、企業から切り離して考えることはできません。今回のツアーでは、参加者の皆さまはブリヂストン「ならでは」のタイヤ生産プロセスに驚嘆されていたように思います。
そしてバリューは、企業を構成する人や、その歴史的経緯によって形作られた文化や価値観、あるいは社員の誇りといった感情的な要素まで含みます。バリューは、企業が答えのない問題に取り組むとき、最も強く影響する要素であり、それだけ長期的な企業価値への影響も強くなります。例えば、製品に不具合があったとき、顧客を第一に考えてリコールをするのか、短期的利益や保身を考えてデータを改ざんするかは、社員が拠り所とするバリューによって決まります。今回のツアーでは、正二郎氏やブリヂストン社員の方々のバリューを拝見することができ、参加者の皆さまに感動していただけたと思います。

今回のツアーは、ブリヂストンの資金部IRユニットの皆さまや、久留米工場の皆さま、石橋正二郎記念館の皆さまのご協力なくしては決して成功できませんでした。関係者の皆さまには、厚くお礼申し上げます。また、参加者の皆さまにおかれましては、私たちが意図していたことを、真剣にくみ取っていただき、そして何より楽しんでいただけたと思います。これからもこのようなツアーを通して、私たちの投資先企業の持つ社会的意義を皆さまにお伝えしてまいります。

【アナリスト 加地 健太郎】

 


参加されたお客様の声

●単なるタイヤメーカーだと思っていたが、タイヤ製造の複雑さと精巧さには驚いた。久留米の街と共にある企業であり文化的・社会貢献は日本一番では…。

●地下足袋からタイヤへの変遷がよく分かった。創設者の石橋正二郎さんの事業への意欲と、地域や人類への社会貢献を1930年代より行っていたことに敬意を表します。

●タイヤ製造に対する社員の熱意と創立者の気持ちが会社のスミズミにみなぎっていると感心しました。

●1つ1つ内部で積み上げてきたものを感じました。社員がタイヤ作りが大好きで誇りを持って仕事をしていると感じました。

●創業者の思い、ポリシーがよくわかりました。また、それが引き継がれて企業の社会的貢献を今も大切にされていることがわかり、イメージアップしました。従業員の方に理念が徹底されていることも感じました。関東の工場ではなく久留米に来た理由がよくわかりました。

●最高の品質のための取り組みを今日半日だけでも数え切れないくらい教えていただき、だれもが知る“ブリヂストン”は知名度以上の企業だと感じました。航空機や鉱山車両等技術がないと製造できないタイヤがあることや、その技術をブリヂストンさんが持っていることを今日初めて知りました。

●石橋正二郎さんの「企業理念」はすばらしい。また、結果が人の幸福に結びついていて、感動した。こういう企業をもっと応援したい。

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