Sawakami Asset Management Inc.

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ブルネロ・クチネリ

今回訪問したブルネロ・クチネリ社(以下、同社)は、イタリアのカシミヤの高級服飾ブランドであり、“人間主義的資本主義”という独自の経営理念を掲げて企業経営をしています。人間主義的資本主義とは、自然と人間、夢への志を尊重し「正しい労働」を重視する、という考え方です。この理念は、同社創業者であるクチネリ氏の半生や、彼が愛するソロメオ村の歴史と密接に関係しています。

クチネリ氏は 1978年に、ソロメオ村でカシミヤのセーターをつくる同社を設立しました。彼は村の人々や建物を大切にし、自然の美しさや文化を守り、発展させることに力を注ぎました。そのため、村には村人たちの暮らしを彩る様々な施設や設備が整っています。ラグジュアリーブランドと聞くと派手なイメージがありますが、同社は決してそうではなく、本社をソロメオ村に置いて価値ある雇用を生むことで、村と一緒に企業が成長していく仕組みがそこにはあります。

 

同社のビジネスについて

同社商品の特徴は、自然色を取り入れたやわらかいデザインや、手で触って改めてカシミヤのやわらかさを実感できることです。また、代表されるカシミヤのセーターにはブランドのロゴが入っていないことも特徴的でした。そのようなところが同社のエクスクルーシブ(≒特別・限定的)につながっているのだと考えます。また、それと同時にコンテンポラリー(≒現代的)を持ち合わせているところが、同社の“らしさ”を感じさせる所以かもしれません。 商品の半分以上は職人の手仕事により作製されます。更に職人はパーツ毎に専属して存在し、何重ものチェックを入念に行っているため商品は大変高価です。そうすることで職人たちに適正な報酬を還元でき、継続的な雇用が生まれ、高品質な商品を作製し続けることができます。同社はこの考え方を理解して求めてくれる顧客に商品を提供しており、その点はさわかみ投信でいう「顧客ぶられない」考え方と同じ想いだと共感しました。

このようにして同社は、利益が公平に労働者に分配されるという、倫理的なビジネスモデルを実現しています。加えて、この姿勢がブランド価値とその信頼性を高める大きな要因となっています。
また、本社の建物はコミュニケーションが取りやすいように事務所と工房の行き来がしやすい設計になっていました。工房はガラス張りで、窓が大きく開放感があり、職人がストレスなく作業ができる工夫もされていました。このような職場環境のみならず、社員が商品の価値を理解し業務に携わっているため、製造時の欠損率は0.1~0.2%と非常に低くなっています。

ランチミーティングの際に、CEOのリカルド氏から感慨深い言葉がありました。それは「株主は理念の番人である」という言葉でした。株主は、単に利益を追求するだけでなく、会社が未来永劫存続していくために、企業理念に共感し、企業と共に歩むことが極めて重要な事であると痛感しました。

同社に投資するパートナーとして

今回の訪問は、これからの私たちの人生観においてとても影響ある経験となりました。

人間の尊厳や自然との調和を大切にしながら、高品質な商品やライフスタイルを提供し、ビジネスの発展を続けている同社。そして、訪れるだけでその想いや姿勢を感じ取れるソロメオ村。とても素敵な企業です。だからこそ、同社の理念や商品に共感する人は多いのだと感じました。人間主義的資本主義の理念・哲学のもと、企業活動を通じて村と共に成長していく同社をこれからも応援し続けたいと思います。

そして私たちさわかみ投信もまた、働く上で大事にしている想いがあります。 私たちは、生活していく上で必要な商品やサービス、技術等を提供している・無くなっては困る企業に“応援”という想いを乗せて投資をしています。そしてその考えや想いを直接お客さまへお伝えする・お届けすることが大事と考えています。それは企業・ファンド仲間の皆さま・さわかみ投信の三人四脚が、さわかみファンドをかたちづくっているからです。これからもこの三人四脚による長期投資で、世の中をおもしろく明るい社会にしていきたいです。

(直販部:平谷、運用調査部:森實)

 


 

【ツアーの流れ】

▼ 10:00 ご挨拶・概要説明

IR 担当のピエトロ氏によるご挨拶と、設立にいたるまでの歩み、及び村と企業の関係性などの概要説明

 

▼ 10:30 ソロメオ村見学

●左上:ソロメオ現代芸術工芸学校で学ぶ学生(中央)
●右上:村人が気軽に利用できるクチネリ劇場
●左下:古城は村人たちの憩いの場
●右下:村で収穫した葡萄で作ったワインとワインセラー

 

▼12:00 本社見学

●左:通訳の伊藤氏とピエトロ氏。事務所・工房・展示室などを見学、経営理念をより深堀していただきました
●右:本社の工房では手作業で商品を作製していた

 

▼ 13:30 質疑応答

CEOリカルド氏(写真中央)と社員食堂にてランチミーティング

 

 


 

【参加者様の声】

●ブルネロ・クチネリ社の広大な敷地と素晴らしい施設、何よりその理念に深く共感し、このような企業が育つ土壌がある、イタリアという国の歴史に基づいた奥深さにも心打たれました。

●ツアーはさわかみ投信さんの長期投資の本質に触れ、相互に関係性を深められる絶好の機会ですので、運用報告会と合わせて国内外に関わらず、引き続き企画されることを願っています。

初めての海外企業訪問ツアー

「広告宣伝費ではなく、職人の価値に対価を払う」「工場で働く人たちに、高い給料と快適な職場環境を用意する」これは私が今回の視察において強く印象に残った点です。ブルネロ・クチネリ社は、カシミヤを使用した高級衣料品ブランドとして知られていますが、その根底には金銭的価値よりも従業員や職人など人間を大切にする哲学があり、それが同社のあらゆる取り組みや付加価値の源泉に紐づいていることを理解しました。

今回、参加された5名のファンド仲間も同社の唯一無二の取り組みに共感し、ご自身の仕事や環境に適応させるための意見を多く述べていました。同社の企業文化への興味、高品質な衣料品に対する長年の愛着、地域創生への関心など参加者の目的は様々でしたが、現地での体験を通じて、なぜ当社が長期的に応援しているのかを感じていただけたことでしょう。

また、訪問の道中でファンド仲間と多くの時間を共有できたことは素晴らしい経験でした。異国の地でありながら“さわかみ”という共通項で結びついた私たちは、まさに“仲間”でした。私自身、今回の訪問は単なる金融商品という枠組みを超えて、人生の1ページに刻まれるまたとない経験になったと感じています。

(運用調査部:村瀬)

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