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「路上の人」
堀田 善衞著
徳間書店
 

長期投資の勉強とは関係なしに、歴史とか地政学とかへの興味は昔からのもので、ずいぶんと本を読んできた。後になってみれば、好きで学んでいたことが意外にも自分の長期投資の骨格になっていたなあと、感慨にふけることが実に多い。
 
思い起すに、そういった雑学書を手にしてきたケースが、経済関係の専門書の10倍以上となっているはず。
 
そもそも、ふらりと書店を訪れることが好きで、すこし時間があるとすぐ店内に入ってしまう。これとは目的もなしに書架を眺め歩いていると、本の方から呼びかけられることが時折ある。
 
本書がまさにそうだった。誘われるまま手に取ってみると、中世のキリスト教世界のことが書かれているではないか。うまい具合に新書だ、電車の中で読むのにちょうどいい。
 
早速、買って読みはじめた。最初50ページほど、「なんだこれは、実につまらない」と驚くほどに、当時の重苦しく抑圧されていた社会の描写が延々と続いている。それでも不思議と引きずり込まれて、どんどん読み進めていった。そのうち、「これは、おもしろい」とのめり込んでいった。中世ヨーロッパ社会におけるキリスト教の関わりが、一般庶民の生活感覚でいろいろ読み取れるではないか。
 
もともと長期投資は、人々の生活をベースにして組み立てられるもの。その意味で、本書のような社会描写は、あれこれ考える上ですごく参考になる。
 
当初はいつ放り出そうかと思いつつページをめくっていた本書だが、気がついたら読み終えていた。

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