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「帝王学ノート」
伊藤 肇 著
PHP研究所
 

いつかは当欄に登場してもらわなければ、そう思い続けてきた一書が表題の帝王学ノートである。
 
運用ビジネスにのめり込んでいった若い頃、経済も景気変動も人間のなせる技。もっと人間の勉強をしなくてはと思い至った。それで、十八史略を手はじめに、人間の生き様を描写した書物を数多く読み漁った。
 
その中には、古典ともいわれる大河小説も入ってくる。激動ともいっていい時代の変遷期に、主人公や主人公ファミリーがどう生きたかの人間描写には心が揺さぶられる。
 
人間の勉強ってこんなにもおもしろいのかと、いろいろな書物を手当り次第に読み進んでいくうちに、ふと手にしたのが本書である。
 
伊藤肇という著者が中国古典を中心として磨き込んだ知性と鋭い感性で、人間観察を繰り広げている。一気に読破し、折にふれて読み返すことになった。
 
どれだけ投資運用の仕事に役立ったかは、実のところよくわからない。ただ、人間の生き方の多様さに、自然と関心がいくようになったのは確かである。
 
信義を重んじたり利に走ったりで、個々人の生き方は多種多様である。それが内的あるいは外的な影響でもって大きく変わっていく様も、またおもしろい。
 
 
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そういった人間パノラマを、日々の仕事や生活でまわりの人を観察する自分がいて、その自分も常に観察されているわけだ。客観的な視野というものが、すこしずつ広がってきているのかもしれない。

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